山本由伸が5回3失点で勝ち星つかずも、6奪三振の魔球に米唸る「膝を折るほどのカーブだ!」

ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸が本拠地で行なわれているサンディエゴ・パドレス戦に今季4度目の先発登板。5回(91球)を投げて2本のホームランを浴びたが、4安打、6奪三振、1四球、3失点で降板。「2番・指名打者」で先発出場した大谷翔平に今季4号ソロ弾が飛び出すなど味方打線が序盤から大爆発し、4点のリードをもらい勝利投手の権利を得て交代したが、中継ぎ陣が同点とされ、メジャー2勝目はならなかった。

山本はパドレスと3月の韓国・ソウルでの開幕シリーズ第2戦以来の再戦となった。当時は初回打者9人に43球を費やすほど制球に苦しみ、被安打4、5失点で降板して敗戦投手になった。リベンジを期した登板となったが、またも初回から試練が降りかかった。

初回1死一塁で、4番のマニー・マチャドに低めに投じた初球のカーブをうまく左翼スタンドに運ばれ、いきなり2点を献上した。ところがその裏、大谷が松井秀喜(元ニューヨーク・ヤンキースなど)氏に並ぶメジャー通算175本目となる一発を左中間に放り込み、1点差。先輩の頼もしい追撃打で山本を援護した。

ところが直後の2回表、山本は先頭打者のキム・ハソンに2号ソロを浴び、再び2点差に。パドレスに流れが傾きかけたが、以降は三者凡退に抑える。すると、その裏に強力ドジャース打線が猛攻。マックス・マンシーが2試合連続のソロ、ムーキー・ベッツがリーヅ単独トップに立つ6号3ランを叩き込み、一挙4点を奪い5対3と試合をひっくり返した。

打線の後押しに山本は3回以降、立ち直る。3回1死でヒットを許したが、ベッツの好守備もあり後続を併殺打で打ち取る。その裏には6番テオスカー・ヘルナンデスが右中間に5号2ランホームラン。この試合6本目のアーチが飛び出し、ドジャースが7対3でリードをさらに広げる。
山本は4回表、初回に先制弾を打たれたマチャドを90マイル(約144.8キロ)のスプリットで空振り三振に仕留めると、そのあと四球でランナーを出すが二塁を踏ませず。5回には、2者連続三振を奪うなど三者凡退に抑えた。特に最後の打者となったザンダー・ボガーツは8球まで粘ったあと、79.6マイル(約128.1キロ)のヨーヨーカーブに手が出ず、見逃し三振に喫するとバットを放り投げて悔し気な表情を浮かべた。

このカーブには現地記者も唸り声を上げた。”ピッチング・ニンジャ”として周知されている米投球分析家のロブ・フリーマン氏は「膝を折るほどのカーブだ」と自身のX(旧ツイッター)に投稿。ストライクゾーンにズバっと決まる見事な変化に、ため息が漏れた。

パンチ力があるパドレス打線を5回3失点に抑えた山本だったが、2番手のダニエル・ハドソンが6回に1失点、7回には3番手のライアン・ブレイシアが内野ゴロの間に1点を与え、なおも2死二塁で2番フェルナンド・タティスJr.に痛恨の2ランを打たれてしまい、7対7の同点に。この瞬間、山本の勝ち星がなくなった。

試合は8回表まで終わり、同点のまま。ドジャースの攻撃に入っている。

構成●THE DIGEST編集部

© 日本スポーツ企画出版社