吉田麻也も在籍!アメリカでプレーする日本人選手【MLS2024】

写真:Getty Images

アメリカサッカーの気運が高まっている。かつてはバスケットボールと野球、そしてアメリカンフットボールの国であったが、FIFAワールドカップ(W杯)2026がカナダ、アメリカ、メキシコの北中米3か国で開催されることからもわかるように、現在のアメリカはこれまでにないほどのサッカーブームの渦中にいる。記憶に新しいのは、史上最高の選手として知られるFWリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)のメジャーリーグサッカー(MLS)参戦だろう。

マンチェスター・ユナイテッド(イギリス)やレアルマドリード(スペイン)などのビッグクラブでプレーしたこともある元イングランド代表のデビッド・ベッカム氏が共同オーナーを務めるインテル・マイアミは、2023年6月にメッシを獲得。その後もメッシとともにFCバルセロナ(スペイン)の黄金期を築き上げたMFセルヒオ・ブスケツやDFジョルディ・アルバ、FWルイス・スアレスらを獲得し話題を呼んだ。メッシらの活躍により全体の底上げが期待されるMLS。今回の記事では、そんなMLSで日々奮闘中の日本人選手を紹介する。


吉田麻也 写真:Getty Images

吉田麻也(ロサンゼルス・ギャラクシー)

2022年のカタールW杯にて、日本代表をベスト16に導いたキャプテンDF吉田麻也が新天地として選んだのはアメリカだった。吉田は2007年に名古屋グランパスでプロデビューを果たすと、その後オランダ1部のVVVフェンローに移籍。そこでの活躍が評価され、2012年にイングランド1部のサウサンプトンに移籍した。一時は現オランダ代表で世界最高のセンターバックとも評されるDFフィルジル・ファン・ダイク(リバプール)ともコンビを組むなど、サウサンプトンのDFラインを支える存在だったが、負傷や年齢も相まって徐々に出場機会を失っていった。

吉田はその後、UCサンプドリア(イタリア1部)やシャルケ04(移籍当時ドイツ1部)と各国のクラブを渡り歩き、2023年夏の移籍市場にてMLSのロサンゼルス・ギャラクシーへと入団。初年度は公式戦12試合1得点1アシストの活躍をするも、チームはクラブ史上ワーストとなるウェスタン・カンファレンス13位(全14クラブ)でレギュラーシーズンを終了した。2024シーズンは吉田がキャプテンを務めており、第7節終了時点で2位につけているLAギャラクシー。吉田のようなビッグネームの活躍により、日本でのMLS認知度も上昇するはずだ。カタールW杯のようにアメリカの地でもチームを優勝を導くことができるか、キャプテンとしての手腕に期待したい。


山根視来 写真:Getty Images

山根視来(ロサンゼルス・ギャラクシー)

川崎フロンターレで一時代を築き、2022カタールW杯でも日本代表に選出されたDF山根視来は、30歳の今年、初の海外挑戦の舞台にロサンゼルス・ギャラクシーを選択した。2016年に湘南ベルマーレでプロデビューを果たした山根は、2020年に川崎へと移籍。明治安田生命J1リーグ連覇や天皇杯優勝に貢献するなど、右サイドバックとして輝かしい成績を収めた。

カタールW杯アジア最終予選の第9戦(対オーストラリア代表2-0)でスタメン出場した際には、後半85分に山根がFW三笘薫(ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン)へと出したパスが値千金の先制点に繋がるなど、サイドバックながら攻撃的センスの高さも評価されている。ギャラクシーではここまで7試合すべてに先発フル出場と、新天地でも着実に信頼を勝ち取っている山根。このままの勢いでチームを優勝に導き、再び日本代表に返り咲くことが期待される。

久保裕也 写真:Getty Images

久保裕也(シンシナティ)

2012年、アルベルト・ザッケローニ監督が指揮していた日本代表に、わずか18歳でA代表召集されたのが現在MLSのシンシナティでプレーするFW久保裕也だ。その後しばらく代表からは遠ざかったものの、2016年スイス1部のBSCヤングボーイズ所属時代にバヒド・ハリルホジッチ監督下の日本代表に再び召集され、そこから約2年間は代表に定着した。A代表通算13試合出場2得点の活躍を残すも、結果的にはハリルホジッチ監督の解任と同時にそこから代表への召集はなくなってしまった。

2020年にベルギー1部のKAAヘントからシンシナティに移籍。今シーズンで5年目を迎える久保は既にMLSで通算100試合に出場しており、2023年末には2025シーズン終了までの契約延長(さらに1年間の契約延長オプション付)が発表された。チームから信頼され、MLSで充実の時を過ごしているようだ。


高丘陽平 写真:Getty Images

高丘陽平(バンクーバー・ホワイトキャップス)

現在MLSのバンクーバー・ホワイトキャップスに所属しているGK高丘陽平。横浜FCの下部組織から2014年にトップチームへと昇格しプロデビューを果たす。2018年、サガン鳥栖への期限付き移籍を経て翌2019年に完全移籍。その後2020年に横浜F・マリノスへ加入すると、2022シーズンにはJ1リーグ全試合に出場し、チームはリーグ最少失点を記録。ベストイレブンにも選出される大活躍で横浜FMの優勝に貢献した。

2023年、横浜F・マリノスから完全移籍でホワイトキャップス加入した高丘。183センチとGKにしては上背がないものの、安定したパフォーマンスと高い足元の技術でレギュラーの座を掴んでいる。このまま安定したプレーを続けることができれば、高丘が日本代表に召集される日もそう遠くはないかもしれない。


MLS(メジャーリーグサッカー) 写真:Getty Images

さらに盛り上がるMLS

まだまだ発展途上ではあるが、アメリカがサッカーに注いでいる熱量は凄まじい。ここで紹介した日本人選手のみならず、世界中から名の知れた選手たちが新天地としてアメリカを選択している現状には、Jリーグも危機感と学ぶ姿勢を持つべきではないだろうか。2026北中米W杯の盛り上がり次第では、ヨーロッパに次ぐ人気を誇るリーグとなることも十分に考えられるだろう。今後のアメリカサッカーの発展と、そこでプレーする日本人選手たちの活躍に今から注目である。

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