仕事が嫌すぎてカフェでダラダラ過ごして「働いたふり」をしています。これって会社に「損害」を出していますか?バレなければいいと思うのですが…

サボりは会社にとって立派な損害

基本的にサボり、つまり「職務怠慢」と呼ばれる行為は、会社に機会的・直接的な損害を与えるとされています。具体的な職務怠慢にあたる行為には、以下の例が挙げられます。

__●外回りと称して遠回りの道を通って時間稼ぎをした
●資料の印刷でコンビニに行った同僚が1時間以上帰ってこない
●近所に住んでいて遅刻の連絡をしてきた社員が、数時間たっても出勤してこない__

上記の行為は職務怠慢に該当する可能性があるため、告発および指摘により証明された場合は、なんらかの処罰を覚悟する必要があります。

就業規則に抵触する可能性がある

職務怠慢は、就業規則を破る行為にあたる可能性があります。例えば厚生労働省が掲載しているモデル就業規則において、職務怠慢により抵触する可能性があると考えられる遵守事項は、以下の3点が挙げられます。

__1\.勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと
2.会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと
3.その他労働者としてふさわしくない行為をしないこと__

先述した3つの例は、3項目すべてに当てはまっているため、職務怠慢として処罰を受ける可能性があります。

最悪の場合は解雇のリスクも考慮しよう

職務怠慢の発覚による処罰は、罰則金や降格だけでなく、最悪の場合懲戒処分の可能性もあり得ます。一度の職務怠慢で解雇につながることは考えにくいですが、日頃から勤務態度を指摘されている場合や過去にも同じ行為が発覚している場合は、懲戒処分も十分視野に入るでしょう。

例えば、取引先との商談で現場に現れず、商談破談におよんだ場合も例として挙げられます。悪質性が認められるひどい場合には、懲戒処分を超えて損害賠償を請求されるケースも考えられるでしょう。

仕事をサボることで会社に与える損害

職務怠慢が会社にどのような被害を与えるのか解説します。職務怠慢が会社に与える影響は、決して小さくありません。

企業規模が大きくても小さくても同様です。会社は従業員の勤務に対して賃金を支払っているため、故意の職務怠慢は就業規則の違反および契約の不履行とも捉えられる可能性があります。

業務の遅延および不履行

職務怠慢は、会社の業務進行を著しく妨げる要因です。例えば、数人チームで動いているプロジェクトにおいて、業務内容ごとで分担しているとします。そのような場合に、誰か1人でも職務怠慢を行えば、プロジェクトの進行が大きく遅れてしまうでしょう。

この場合に発生する会社の損害には、以下の例が想定されます。

__●プロジェクト進行の遅延による間接的な人件費の増加
●関連企業を巻き込んだプロジェクトの遅延による会社のブランドイメージの低下
●関係チーム全体にかかる精神的、身体的負担__

必ずしもこのような損害が発生するとは限りませんが、起こった場合は会社にとって大きな損害を与えてしまうでしょう。

信頼性の低下

職務怠慢は、行為におよんだ従業員だけでなく、企業全体の信頼を損なうリスクがあります。企業にとって信頼は、商談や事業拡大を進めるうえで重要な指標です。もし企業のブランドや信頼を損なうことになれば、その損害額は計り知れません。

顧客や取引先から大きな信頼を獲得している企業ほど、そのダメージは大きいといえるでしょう。また関連企業や取引先にうわさが拡散すれば、「あそこの会社は従業員の教育がなっていない」と評価されてもおかしくありません。

リソースの無駄遣い

企業は、従業員に対して働きに見合った給料を支払っています。給料は単純な労働時間への報酬だけでなく、従業員の成長を見込んだポテンシャルに対する評価も含まれています。つまり、「これだけ給料をあげるからその分頑張ってください」という信頼の証しともいえます。

職務怠慢は、給与に見合った働きをしていないのと同時に、企業に対する裏切り行為とも捉えられます。そのため、なんらかの処罰が下っても文句はいえないでしょう。

仕事が嫌なときは会社へ相談しよう

仕事を続けていると、暇な時期や仕事が嫌な時期は誰しも訪れるものです。なかには「会社に損害を出しているわけじゃないから」と理由をつけて仕事をサボる従業員も出てくるかもしれません。

しかし、職務怠慢は従業員の目に見えない損害を会社に与えています。取り返しのつかない事態に陥らないよう、仕事が嫌なときは素直に会社や上司に相談しましょう。

出典

厚生労働省 モデル就業規則について モデル就業規則(令和5年7月) 第3章 服務規律 第11条(遵守事項)(16ページ)、第7章 定年、退職及び解雇 第53条(解雇)(69ページ、70ページ)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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