「子どもが薬を吐いた…。もう一度飲ませたほうがいい?」よくあるお悩みへの対処法と服用時のコツを解説【薬剤師】

「子どもが薬をのむのを嫌がり、吐いてしまうことがある」というお悩みはありませんか?
薬を吐いてしまった場合は再度のませたほうがいいのか、どうしたら嫌がらずにのんでくれるのかなど悩むことも多いですよね。
今回は、子どもが薬を吐いたときの対処法や、薬を吐かないようにするための方法や注意点を薬剤師が解説します。

子どもが薬を吐いてしまった場合の対処法

子どもが薬を吐いてしまったときの対処法は、「薬をのんですぐに吐いた」場合と、「薬をのんで、30分以上経ってから吐いた」場合の2パターンに分かれます。
「薬をのんですぐに吐いた」場合は、もう一度1回分の薬をのませましょう。「薬をのんで、30分以上経ってから吐いた」場合は、薬がすでに吸収されている可能性があるため再度のませる必要はありません。(※1)
子どもは消化器官が未熟なため、寝ている間や咳きこんだときに吐いてしまうことがあります。薬をのませたときは、念のため時間を記録しておくと安心です。

子どもが薬を吐かないようにするには?

子どもが薬を吐いてしまうときの対策方法を3つご紹介します。

子どもが好きな食べ物に薬をまぜる

「薬を口に入れると、嫌な顔をしてすぐ吐いてしまう」というときに試してほしいのが、子どもが好きな食べ物や飲み物に薬をまぜる方法です。
甘いもの(ジュース、チョコレートソース、練乳など)や冷たいもの(アイスクリーム、ヨーグルトなど)にまぜると、粉薬の味や不快感が和らぎます。
ただし、薬の種類によっては、柑橘系のジュースや乳酸菌飲料、スポーツドリンクなどの酸性のものにまぜると、苦味が増すことがあります。調剤薬局で薬を受けとる際に、何にまぜるのがおすすめか薬剤師に確認するといいでしょう。(※2)
また、薬をまぜるときには、作り置きはせず、のませる直前に1回分だけ用意します。のませ終わった後に、溶け残った薬がないかも必ず確認しましょう。

空腹時に服用する

子どもの場合、満腹時は薬を吐きやすいため、空腹時に服用すると吐きにくくなる可能性があります。
薬の服用は、食前よりも食後のほうが、胃酸が薄まって効果が出やすいといわれています。しかし、薬の種類によっては食前の服用で問題ないことも。食前の場合は、食事の30分前くらいにのませましょう。
「食後だと薬を吐いてしまうかも……」と心配なときは、事前に医師や薬剤師に食前の服用でも大丈夫か聞いておくと安心です。

のみやすい薬へ変更する

上記の方法を試しても子どもが吐いてしまう場合、薬を変更するのもひとつの手です。
たとえば、粉薬がのめないならシロップに変更したり、高熱時や胃腸の調子が悪く薬を吐いてしまうときはのみ薬を坐薬に切り替えたりできる可能性があります。
子どもが薬を吐いてしまうときは、ママやパパだけで悩まず、医師に薬の変更ができないか相談してみましょう。

子どもに薬をのませる際の注意点

子どもに薬をのませる際、注意しなければいけないことが3つあります。
1つ目は、「牛乳や乳製品と薬の相互作用」です。薬のなかには、乳製品に含まれるカルシウムと結合して吸収が悪くなるものがあります。薬をヨーグルトやアイスクリームとまぜる場合には、薬の吸収に影響がないか医師や薬剤師に確認しましょう。
2つ目は、「主食に薬をまぜない」ことです。薬を母乳やミルク、おかゆ、うどんなどの主食にまぜると、味が変わり、子どもが主食そのものを嫌いになる可能性があります。主食には、薬をまぜないようにしましょう。(※3)
3つ目は、「子どもが1歳未満の場合、はちみつはNG」です。1歳未満の子どもがはちみつを食べると、乳児ボツリヌス症にかかることがあります。乳児ボツリヌス症の原因であるボツリヌス菌は、加熱や調理では死滅しません。薬を食べ物や飲み物にまぜてのませる場合、はちみつが含まれていないか必ず確認しましょう。(※4)

子どもが薬を吐いてしまうときはいくつかの対処法を試してみよう

今回は、子どもが薬を吐いてしまうときの対処法や、薬を吐かないようにするための対策方法についてご紹介しました。
子どもによって合う方法は異なるため、いくつかの対処法を試してみましょう。
また、子どもが薬を吐いてしまうことが多いときは、ママやパパだけで悩まずに医師や薬剤師などに相談してくださいね。

<参考文献>
※1 国立成育医療研究センター「お薬Q&A」
※2 国立成育医療研究センター「粉薬と服薬補助食品の飲み合わせのご紹介」
※3 一般社団法人 愛知県薬剤師会「子どもと薬 | お薬についてのお役立ち情報」※4 厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」

あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-Youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

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