オイルマネー侵食の懸念…LIV組の優勝阻止失敗ならますます世界ランキングは形骸化

2日目も首位をキープしたデシャンボー(C)ロイター

【マスターズ】2日目

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初日7アンダーでトップに躍り出たB・デシャンボー(30)は、前日以上の強風が吹いたこの日はスコアを1つ落とし、通算6アンダーでトップタイにいる。デシャンボーは圧倒的な飛距離を武器に2020年の全米オープンに優勝。今回は2つ目のメジャータイトルを狙っているが、PGAツアーのメンバーはやすやすと許すわけにはいかないだろう。

同ツアー8勝のデシャンボーは22年6月、サウジアラビアが資金提供する新ツアーの「LIVゴルフ」と契約。昨年の大会を制したJ・ラーム(29)も12月に電撃移籍。2位タイのP・ミケルソン(53)とB・ケプカ(33)、4位P・リード(33)と、LIV組が上位を占めた。

ゴルフライターの吉川英三郎氏が言う。

「当初PGAツアーはLIVゴルフに強い敵意を持ち、ウッズやマキロイも批判的でした。その考えは基本的に変わっていないでしょう。一方、昨年、PGA、欧州、LIVの3ツアー統合の話が突如として発表されたが、簡単に進展するはずもなく、今も契約には至っていない。そのため、LIV組は現在も世界ランキングの対象外のままで、ラームやケプカら、近年メジャーで好成績をあげた者以外、ランクは下位に低迷。過去の優勝者以外は今後、他のメジャーに勝たなければマスターズに出場できなくなるかもしれません」

今年、久常涼(21)とともに特別招待されたLIV組のJ・ニーマン(25・同ランク93位)について、17年覇者のS・ガルシアは英BBCのインタビューで「ニーマンは多分世界のトップ10、悪くてもトップ15に入るということを彼ら(マスターズ委員会)は知っているから招待したんだ」と述べている。

「LIVが設立された21年からのメジャー勝者には、ラーム、ミケルソン、C・スミス、ケプカとLIV組がズラリ。現在の世界ランキングは体をなしていないという言い分はもっともです」(前出の吉川氏)

だからこそ、PGAツアーの関係者はLIV組に勝たれては困るのだ。

ちなみに、通算4オーバー68位発進の松山英樹(32)は通算6オーバー50位で予選通過。久常は通算12オーバーで予選落ちした。

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