63歳で太平洋単独横断に成功した日系2世アリスさん 40年前の偉業をつづった航海手帳、愛艇「ガンバリ号」と一緒に枕崎で保管へ

ガンバリ号で太平洋横断した“オゴジョ二世”のアリスさん=1984年7月、鹿児島市の桜島桟橋ヨットマリーナで

 1984年7月、63歳でヨットによる太平洋単独横断に成功した日系2世アリス・オツジ・ヘイガーさんが航海で使った手帳やカレンダーが、いとこの宮原昭弘さん(85)宅=鹿児島県南さつま市加世田=に大切に保管されている。航海から今年で40年。愛艇「ガンバリ号」を保管する枕崎市に贈り、快挙の記録継承を託す。

 手帳はB6判のルーズリーフ式で、日々のチェック事項や悪天候時の対処法などがノート約60枚に手書きとタイプ文字で記されている。地図や図表はノートに合わせてきれいに折り畳んである。カレンダーには、米国を出発した5月8日から鹿児島に上陸した7月24日まで、赤文字で日数が書き込まれている。

 両親が加世田出身のアリスさん。航海は当時大きな話題となった。到着後、1カ月余りを宮原さん宅で過ごし、先祖の墓参りもした。離日の際にヨットを処分することになり、船内の備品などを宮原さんが預かることになった。

 ガンバリ号は1987年に枕崎市が購入し、海洋センター艇庫横に展示してきた。今回、手帳とカレンダーは同市へ、自伝と航海記をまとめた著書「波濤(はとう)を越えて」を同市と南さつま市に各100冊贈ることにし、手続きを進めている。

 アリスさんは2014年、93歳で亡くなったという。宮原さんは「先祖の墓前で涙を流した姿を思い出す。ずっと預かってきた品々だが、何かの役に立てばうれしい」と話している。

アリスさんが太平洋横断で使った航海手帳
アリスさんの思い出を語り合う宮原さん夫妻=南さつま市加世田

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