京都市への観光客回復、住民どう思う 「バスや地下鉄混雑」「マナー違反」再燃も、好影響の回答増加

京都観光を楽しむ訪日客ら(2023年4月、京都市東山区・八坂神社前)

 京都市は2023年10~11月に実施した「京都観光に関する市民意識調査」の結果をまとめた。同5月に新型コロナウイルスの5類移行を受けた観光客の回復で、22年と比べて売り上げ増などの波及効果を実感する市民が増えた一方、観光客のマナー違反や混雑などオーバーツーリズムの再燃も浮き彫りになった。

 波及効果への実感として「売り上げや給与などへの好影響」を挙げた人は20.2%で、前年の4.3%から大幅に増えた。「新規出店など買い物環境の向上」は19.0%(前年13.1%)、「生活環境の向上」は17.6%(同14.6%)といずれも前年より増えた。

 一方、観光客増の負の側面もあらわになった。京都観光がもたららす自身への悪影響について「一部の観光地や周辺地域の混雑」を挙げた人は66.4%(同60.4%)に上った。「バスや地下鉄の混雑」は62.4%(同58.3%)で、「観光客のマナー違反」47.7%(同38.5%)、「宿泊施設が近隣にできたことに伴う悪影響」18.8%(同16.9%)といずれも前年を上回った。「親類や友人らに京都観光を勧めたい」と答えた人は57.2%で、前年の68.9%から減少した。

 市観光MICE推進室は「コロナに伴う行動制限が解除され、この調査結果が軸になる。良い数字は伸ばし、悪い数字は改善できるよう施策に反映させたい」としている。

 調査は市内在住の18歳以上5500人に無作為で行い、44.8%に当たる2465人から回答を得た。

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