「早くして!」「もう知らない!」「うるさい!」つい言ってしまい後悔する私の子育てNGワード。解決策は?

引用元:didesign021/gettyimages

子どもに言ってはいけない…と分かっていても、つい言ってしまうNGワードについて「たまひよ」アプリユーザーのママ・パパにアンケート調査。NGワードを言ってしまわないための声かけについて、青山学院大学教授の菅野幸恵さんに聞きました。

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ダメだとわかっていてもつい言ってしまうひと言

みんながわが子に言ってしまって、後悔したエピソードをご紹介します。

■あっちへ行って
「言わないように…と気をつけているのに、私自身が大人げないのでかなりNGワードだらけ…。『あっち行ってて!』とか『うるさい!』とか…。毎日後悔してばっかりです」(みわ)

■もういいって~~
「次から次へと問題を起こす子どもに『もういいって~~』と言ってしまいます」(huey)

■ダメ!
「とっさに『ダメ!』と言ってしまう。その後にちゃんと理由を伝えるようにしているけど、『ダメ』ということだけが残ってそうで心配…」(ふく)

■早くして!
「『早くして!』は毎日連発。バタバタしている時ほど連発してしまい、落ち着いて我に返ったときに『まだ3歳半なのに…。大人と同じ時間で物事を進めることはできないのに…』と自己嫌悪になり、娘なりのペースがあるのに怒って急かしてしまい申し訳ないなと思います」(macha)

■ふざけないで
「口癖のように『ふざけないで』『いいかげんにして』『1回で聞きなさい』と言ってしまいます」(陽星ママ)

■もう知らない
「気持ちに余裕がないとき、『もう知らない!』『好きにしな!』と、よく言ってしまいます」(こっちゃんママ)

■どうして〇〇なの?
「『もう!なんでいつも〇〇なの?』余裕のない時はつい言ってしまいます」(あいあい)

■しなかったら、〇〇するから
「『早くして!』は日常茶飯事。『~しなかったら、〇〇するから』といった脅しもよく言ってしまいます。ただ人と比べることは絶対にしないように気を付けています」(こと)

■ダメ出し
「できるだけ褒めたい!けれども、ついダメなところにフォーカスして怒ったり、求められていないアドバイスをしてしまう…」(こりん)

■お兄ちゃんになるんだから
「『お兄ちゃんになるんだから』。私は長女で『お姉ちゃんなんだから』と言われて、好きでお姉ちゃんに生まれたわけじゃないと嫌な気持ちになっていたのに、わが子に言ってしまうことがあります」(ゆとち)

お互い険悪にならない「Iメッセージ」で気持ちを伝えて

言ってはいけないと分かっていても、余裕がないときはつい言ってしまうNGワード。どう言い換えれば子どもの伝わるのか、菅野幸恵さんに聞きました。

「みなさんが、つい言ってしまうNGワードからは、お子さんたちとの抜き差しならないリアルな生活が見えてきます。共に生活していくということは、常に子どものペースに合わせるわけにはいかず、“今”が勝負の連続。そのため、“今”は 『○○してほしい』『○○してほしくない』ことは、生活の様々な場面であるでしょう。また、この時期の子どもの気持ちはコロコロと変わるもの。さっきまで泣きわめいていたのに、急に『ママー』『パパー』と甘えてきたりします。

一方で、大人の気持ちはそう簡単に切り替えられません。そのような日々の生活のなかでは、つい言ってはいけないことを口にしてしまうことは致し方ないことです。スヤスヤ眠るお子さんの寝顔を見ながら反省会という方も少なくないのではないでしょうか。

そこで大事なのが『反省』や『後悔』です。『余計なこと言ってしまった』『あんなこと言わなきゃよかった』と思うことが重要です。『しょうがないよね』と開き直るのではなく、なぜそうなったのか、また同じようなことがあったらどうしたらいいかできる範囲で考えてみましょう。

では、具体的にどうしたらいいのか。みなさんのNGワードの多くは『あなたは○○』という相手が主語の『YOUメッセージ』です。YOUメッセージでは怒りや評価が伝わるだけで関係が険悪になりがちです。否定の部分だけが強く残ると、肝心なところが伝わらないこともあります。YOUメッセージの代わりに、私が主語の『Iメッセージ』を使うようにしましょう。『私は○○してほしい』『○○されると悲しい』というものです。怒りなどのネガティブな感情の背景には、満たされなかった自分のニーズがあるはずです。そのニーズに気づいて、それをことばにして伝えるようにすると、険悪にならずにすみます。もちろんすべてを子どもが理解することは難しいですが、子どもを否定しないで済む効果は親子双方にとって大きいです。

もちろん危ないことなどは、YOUメッセージを使わないと伝わらないこともあります。その場合は、子どもの存在ではなく、行為について言及するように注意しましょう。『あなたがダメ』なのではなく、『あなたがしていることがダメ』ということです。

大人が避けなければいけないNGワードは子ども自身を否定したり、子ども自身では選べないこと(性別や出生順位など)で比べたり評価したりすることです。『比べないようにしている』という声がありましたが、これはとても大事な姿勢です。
また、NGワードは気持ちに余裕がないときに発せられがちです。疲れが溜まっていたり、爆発しそうだったら、思い切ってパートナーや家族に子どもを預けて、少しでもいいので、自分だけの時間をもち気持ちをリフレッシュしましょう」(菅野幸恵さん)

わかっていてもつい言ってしまうNGワード。後悔や自己嫌悪に陥るママの気持ちもわかります。『Iメッセージ』を意識して伝えること、たまには自分時間を作ってリフレッシュすることが大事ですね。
(取材・構成/メディア・ビュー 酒井範子)

菅野幸恵さん

PROFILE)
青山学院大学コミュニティ人間科学部 コミュニティ人間学科教授。専門は、発達心理学で研究テーマは、乳幼児期の親子関係、地域コミュニティでの子育てについて。著書に『あたりまえの親子関係に気づくエピソード65』(新曜社)、新刊『つながりの子育て』(共著/理工図書)がある。

※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2024年1月の情報で、現在と異なる場合があります。

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