『怪獣8号』“カフカ”で初主演を務める福西勝也 “ミナ”瀬戸麻沙美の空気感に「すごく助けられました」

(左から)福西勝也&瀬戸麻沙美 クランクイン! 写真:小川遼

集英社のマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」にて連載中の『怪獣8号』がテレビアニメ化。4月13日(土)から、テレビ東京系ほかにて放送・配信される。本作は、日常的に怪獣が人々をおびやかす世界で、怪獣討伐の精鋭集団・日本防衛隊を目指す夢を諦めた日比野カフカが、30代にして再び夢と怪獣に立ち向かう物語。カフカを演じる福西勝也は原作を読んで「稲妻が走るような衝撃を受けた」といい、ミナを演じる瀬戸麻沙美は「『挫折』からスタートするストーリーは、珍しいと思いました」と、作品の魅力を語った。果たして二人から見た『怪獣8号』の世界とは?(取材・文=M.TOKU/写真=小川遼)

■瀬戸「(カフカは)部屋が汚い(笑)」

――原作を読んだときの感想を教えてください。

福西:一言で言うとしびれました。公開されているメインPV第2弾で「1・2の…3!」と怪獣8号がアッパーカットを繰り出すシーンがあるのですが、頭の中はまさにあんな感じ。稲光が走るような衝撃を受けました。ストーリーは王道で前向きながらも、ちょっと変化球な設定というギャップが面白くて。自分は連載当初から読んでいたのですが、どんどん引き込まれて「いいジャン!」(「ジャンプ+」で読者が面白いと思った作品に押せるボタン)を連打しました(笑)。同時に、これはきっとメディアミックス展開も早いだろうなと思い、自分も関われたらとは思いつつも、どこかで焦燥感みたいなものを感じていました。

瀬戸:主人公が30代で、防衛隊に入る夢を諦めているという「挫折」からスタートするストーリーは、珍しいと思いました。それに、キャラクターたちがみんな前向きなんです。悪いやつがなかなか出てこない印象があるのですが、それは(防衛隊に所属する)彼らの目的が国を守るところにあるからなのか、ライバル視こそすれども足を引っ張り合うということはしないんです。むしろ「それなら俺も頑張る」みたいな上向きのキャラクターが多いと感じました。

福西:リスペクトのし合いがきれいですよね。

瀬戸:そう。すごいよね。

――続いて、お互いが演じるキャラクターの印象を教えてください。

福西:ミナは第3部隊隊長を務めていて、隊長然とした冷静さがあります。ただ、決して冷酷ではないし、隊員の在り方を否定もしない。相手を見て対応を微妙に変化させる器用さも持っているんです。上官としてとても理想的な人だなと思いました。「少年ジャンプ+」では「side B」という、本編では描かれなかった防衛隊員たちの姿を見られるアナザーストーリーも連載されているのですが、そこでのミナはすごくかわいらしくて! 天然さんなところがフィーチャーされているので、アニメを見て彼女が気になった方は「sideB」もチェックしてみてほしいです!

瀬戸:カフカは熱い男ですが、ちゃんと周りが見えていて、誰かを優先して動ける人です。(市川)レノと出会ったときも心の中ではムカついていても、ちゃんと仕事の大変さを教えているし、四ノ宮キコルと最初に出会ったときも「なんだこの子は」という感じでしたが、認めたらちゃんと褒めるんです。その真っすぐさや思いやり・優しさがカフカのすごいところだと思いましたし、とても好感が持てました。あとは…部屋が汚い(笑)。

福西:それ、ずっと言っているじゃないですか(笑)。でも、アニメになることでより汚さが目立つようになった気がします。

瀬戸:衛生環境がヤバい! 部屋をきれいにしたら、もう少し幸福度が上がりそうな気がします(笑)。

■福西、瀬戸の空気に「助けられました」

――お互いのお芝居についてはどんな印象をお持ちですか?

福西:麻沙美さんのお芝居って、言葉の一つひとつが美しくて、心にズドンとくるんです。麻沙美さんの凛(りん)としたお芝居と声を受けると、自分にも熱がこもるというか。バフをかけてもらっている感じがします。

瀬戸:福西さんは細かいところまで拾ってくださるイメージがあって、引き出しがすごく多い。どんなオーダーがきても「じゃあこのパターンでやります」と対応できる方なので、恐らく相当準備をしてきているのだろうなと感じました。

福西:勢いの男だと思われがちなんですけど、実は準備をしっかりするタイプで(笑)。見抜かれていました。

瀬戸:現場で一緒になったメンバーはみんな同じことを感じていると思いますよ!

――アフレコに臨むにあたって、どのような準備をしましたか? また実際の現場の雰囲気も教えてください。

福西:私は外画の吹き替えでマイク前に立っていた経験のほうが多く、アニメーションでは初めて主人公を演じました。そこに対する不安は正直あったのですが、いざ現場に入ってみるとすごく柔らかい雰囲気で! 皆さんがあたたかく迎え入れてくださいましたし、一人の役者として接してくださったんです。だからこそ、経験は少ないけれど、プロとしてマイク前に立ってきたプライドや自信を持って演じればいいんだと思えました。

瀬戸:隊長であるミナは、これから防衛隊に入るカフカたちとは立ち位置が少し異なる存在です。加えて、ミナは途中からじわじわと出番がある感じだったので、皆さんが作った現場の空気感に「お邪魔します」くらいの感じでいようと思いました。自分からコミュニケーションを取るというよりも、空気を見てそれにフワッと混ざっていけたらいいなって。最初の頃は様子を探りながら現場入りしていましたね。

福西:個人的には麻沙美さんがフワッと入っていただけたことが、落ち着ける要因にもなっていて。自然体でいてくださったことが、すごく助けになりました。

瀬戸:そう言ってもらえてよかったです(笑)。ですが、あまりお節介なことはしないようにしようとは思っていました。

――お節介、ですか。

瀬戸:私自身過去に、先輩に声をかけていただいて助けられたことがたくさんありました。それを返していきたい、自分も声をかけてあげたいという思いはあるんです。でもそれって、人によってはプレッシャーになっちゃうこともある気がしていて。誰彼構わずではなく、場所と人を選ぶことが大事だと私は感じているので、今回は様子を探りながら現場の空気に溶け込めればと思っていました。

福西:みんな、いい意味でリラックスして自分でいられた気がします。

――そういう雰囲気が作品にも乗っている。

福西:そうなっていればいいな、伝わればいいなと思っています!

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