「アイツら頼りと思われたくなかった」遠藤渓太が東京ダービーで殊勲の2ゴール。「自分的にスイッチが入った」瞬間とは? 【FC東京】

2024年4月13日、味の素スタジアムでの東京ダービーで東京Vに0-2とリードされ、絶体絶命の状況に追い込まれていたFC東京を救ったのは途中出場の遠藤渓太だった。

68分に白井康介のクロスに合わせて1点を返すと、90+4分には強烈なミドルで同点弾を突き刺す。殊勲の2ゴールでチームに生命を吹き込んだ遠藤の活躍は文字通り称賛に値した。

試合後、記者団に囲まれた遠藤は「(こんな人数に囲まれるのは)初めてですよ、こんなの」と少し笑みを浮かべつつ「あのままサポーターの方々を帰すわけにはいかなかった」とコメントしている。

「ベンチでサポーターの方々の熱量も感じていて、個人的にダービーはチャンスだと思っていた。その前まで結果が出てなかったので、ここでひとつ残せば認められるのかなと。その意味で、ひとつ決めることができて良かったです」

安斎颯馬の退場(43分)で10人になってから、遠藤は「割り切っていた」という。

「チームとしてがむしゃらにやって、1点目のところも走り込んで。それが勝点1を拾える結果につながりました。何が正解で不正解とかじゃなくて、やっぱりがむしゃらにやったところが全てだったと思います」

そんな遠藤の魂に火をつけたのは、染野唯月のゴールだった。

「染野選手に2点目を決められ、ゴールパフォーマンスでFC東京のゴール裏を煽られているように見えて、そこで自分的にはスイッチが入りました。自分がピッチに入ったらプレーで見せてやろうと思ったし、その意気込みが良い方向に行って良かったです」

FC東京への完全移籍が発表された数日後のゲームで結果を出した点で、遠藤は勝負強さを示したと言える。

「タロウ(荒木遼太郎)や(松木)玖生がいない中でアイツら頼りだったと思われたくなかったし、ダービーでひとつ(今後に向けての)きっかけを掴めて良かったです」

この2ゴールに満足せず、「継続できるように」と遠藤は「日々トレーニングに励みます」とモチベーションを高めていた。東京ダービーでのパフォーマンスが今後にきっと良い影響を与えるはずだ。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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