【ソフトバンク】山川穂高の連続満塁弾にブーイングも消えた 「結果で示す」有言実行

祝福を受ける山川穂高

文字通り、結果で黙らせた――。ソフトバンクの山川穂高内野手(32)が13日の西武戦(ベルーナ)で、2打席連続満塁弾の離れ業をやってのけた。1試合2本の満塁アーチは史上3人目、2打席連発は同2人目の偉業。球団記録に並ぶ8打点の荒稼ぎで、チームを11―2の快勝に導いた。

本塁打王3度のFA砲が、昨季まで慣れ親しんだ古巣本拠地で伝説をつくった。1発目は、3―0で迎えた6回一死。相手2番手・水上から左中間席へ叩き込んだ。「当たってくれた。うまくいかない時はどうやってもうまくいかないんで苦しかった」。

開幕戦以来の2号は安堵感でいっぱいだった。5回の満塁機では3ボールからの空振り三振。雪辱の一打が最高の結果となり、バットを額にこすりつけて喜んだ。ナインにせがまれるままに、本塁打パフォーマンスの「どすこい」も披露。鷹党の歓喜と獅子党のブーイングを一身に受ける稀有な光景が広がった。

8回、塁が埋まった状態で三たび打席に向かう背番号25には独特のオーラが漂っていた。豆田の直球を完璧に捉え「2本目は理想通り」という特大弾。とりわけ熱狂的で知られる西武ファンが陣取る左翼席中段へ叩き込み、今度はベンチ前で控えめに「どすこい」を決めた。

ただでさえ注目の的となった古巣とのカードで、満塁弾を一発ならず連発。衝撃的な2発目に、元同僚だった西武野手陣は一歩も動けず、ブーイングすら起こらなかった。

不祥事を経てのFA移籍。すさまじい逆風を浴びた。進退に迷った時もあった。朝から晩までバットを振り続けられる野球人。愛する野球を捨てることは到底できなかった。新天地を得た喜びを感じつつ、言い聞かせてきたことがある。

「僕の場合は、グラウンドの結果で示すしかない」

短い言葉だが、山川の今を物語るにはこれ以上ない表現だった。2月の対外試合からアーチを連発し、注目を集めた。それでも一切、満足はしなかった。休日や深夜にペイペイドームを訪れ、口癖の「微調整」を繰り返し、満足できる一軍公式戦の結果につなげた。

目を潤ませた1発目。所沢を沈黙させた2発目。文句のつけようがない結果で、生き様を示した。

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