ベンチで目を潤ませて「当たった」 2打席連続満塁弾のソフトバンク山川穂高 本塁打王3度の「アーチスト」にも特別だった一発

6回、左中間に満塁本塁打を放ち、柳田(左)に迎えられる山川(撮影・冨永豊)

◆西武2―11ソフトバンク(13日、ベルーナドーム)

特別な一発に目が潤んだ。3点リードの六回1死満塁。山川の打球は古巣ベルーナドームの左中間スタンドで弾んだ。水上のスライダーを捉えた今季2号のグランドスラム。ベンチに帰るとバットの先を見ながら「当たった」とつぶやいた。

3月29日の開幕戦でオリックス宮城から移籍1号を放って以来、12試合ぶりの一発。「本当に何とか1本出て、という感じだった」。八回には豆田から2打席連発の3号満塁弾。初戦からブーイングが響いた左翼席への豪快な放物線だった。

2打席連続の満塁アーチは、2006年の二岡(巨人)に続くプロ野球2人目の快挙。「ヒットより本塁打の方が乗っていける。打てないときはどうやって打つんだっけ、という感覚になる」ともがいていただけに、喜びもひとしおだった。

1試合8打点は球団最多タイ。「僕だけで満塁本塁打は打てない」と、自己新の1試合5安打などで6出塁した周東や初回の先制二塁打を含む4出塁の柳田らに感謝した。その周囲の求めに応じ、迷いながらもどすこいポーズを披露した。

1割台をさまよう時期があった打率も2割2分まで上昇した。小久保監督も「1本出たので、気持ち的にも楽になるんじゃないですかね」。五回に中押しの2点打を放った近藤を含め、クリーンアップが全11打点。山川の復調で理想的な打線に近づきつつある。(末継智章)

© 株式会社西日本新聞社