国宝勝興寺、春らんまん 好天、満開の高岡茶会

心尽くしのもてなしで春の喜びを伝える表千家同門会富山県支部の立礼席=高岡市伏木古国府の国宝勝興寺

  ●建物、道具に歴史思う

 第31回高岡茶会(富山新聞社、北國新聞社主催)が開幕した高岡市伏木古国府の国宝勝興寺は13日、好天に恵まれ、境内の桜は咲き誇り、春らんまんの風情となった。訪れた人は、見頃を迎えた草花を愛でながら四季の喜びを分かち合い、歴史ある建物と道具に触れ、悠久の歴史に思いをはせた。

 うららかな陽気に誘われ、桜が満開となった境内は春らしい和装姿の来場者でにぎわいを見せ、笑顔が広がった。

 古儀茶道藪内流竹風会高岡支部は、新緑に芽吹く山の自然を描いた出雲焼の茶わんや、大河ドラマで関心を集める源氏物語にちなみ、「袿(うちき)」と呼ばれる平安貴族の衣服をイメージした3色の菓子「色かさね」、ボタンの花などがみやびな雰囲気を演出した。

 席主の瀬賀智香枝さんは、珠玉の逸品に囲まれ、くつろぎのひとときを過ごす来場者と語らい、「国宝でうれしそうに一服される皆さんの顔を見ると、こちらも幸せな気持ちになる」と顔をほころばせた。

 案浦花菜さん(36)=高岡市=は、「名刹での一服は空気が厳かで良かった」と感慨深げに語った。

 表千家同門会富山県支部による立礼席では、席主の鴨島喜久子さんが、勝興寺辺りにあったと伝わる越中国庁で勤めた万葉歌人大伴家持が、印をつけておいた桜が見事に咲いた様子を詠んだ歌を紹介。床に据えたヤマシャクヤクが、13日朝にちょうど、花を咲かせたことの感動を語った。

 春の桜と秋のカエデの模様が描かれ、14代家元而妙斎(じみょうさい)の花押(かおう)が入った棗(なつめ)も用いた。来場者は花びらを集めたようなモチーフの菓子と春の野草を描いた茶わんでの一服を堪能しながら、伏木や高岡古城公園など、あちこちで花盛りとなっていることを喜び、自然の美をたたえた。

 県茶道連盟の片山直子理事長は、国泰寺前管長と13代家元との合作である軸に関心を寄せ、「茶席で皆が集い、楽しむ様子が伝わった」と話した。

古儀茶道藪内流竹風会高岡支部の本席で、珠玉の逸品を眺める来場者

© 株式会社北國新聞社