行楽客続々、県内に活気 富山駅や観光地、GWも期待高まる 北陸新幹線敦賀延伸、間もなく1カ月

満開の桜のそばで自由時間の説明を受ける外国人ツアー客=富山駅前

 春の行楽シーズンが本格化し、富山県内の観光地や宿泊施設がにぎわいを見せている。13日の富山駅は間もなく敦賀開業1カ月を迎える北陸新幹線の利用者で活気にあふれ、乗客からは「関西からの距離がぐっと縮まった」との声も聞かれた。昨年を上回る忙しさに追われる宿泊施設もあり、関係者はコロナの5類移行後で初となるゴールデンウイーク(GW)にさらなる期待を寄せている。

 富山駅では南口広場で桜が咲き誇り、多くの県外観光客がカメラを向けた。近くの花見スポットに繰り出す欧州の団体客もいた。

 福岡市の松尾緑さん(46)は「おいしい物をたくさん食べる」と心を躍らせ、北アルプスと桜、花々が織り成す「春の四重奏」を目当てに母と朝日町に向かった。福井、加賀での宿泊を経て13日に富山入りした東京の70代男性は新幹線旅を満喫し「早く関西までつながってほしい」と願った。

 能登半島地震で大きな被害を受けた氷見市では、観光施設「ひみ番屋街」に県内外から多くの観光客が訪れた。施設によると、にぎわいは普段の週末の2割増しとなった。友人3人と神奈川から新幹線と氷見線を乗り継いで訪れた石山芽衣さん(26)は「被災地を応援するため、たくさん買い物や食事をしてお金を使いたい。海が近くて景色もきれいで、リフレッシュできた」と笑顔を見せた。

 南砺市の世界遺産・相倉合掌造り集落では外国人観光客の姿が目立った。フランスの4人グループは関西巡り後に新幹線を利用して訪れ「落ち着いた雰囲気と雪が残る美しい景色が気に入った」と声を弾ませた。「今までにない忙しい4月」とうれしい悲鳴を上げるのは、同市の五箇山旅館「よしのや」の女将(おかみ)酒井恵子さんだ。市観光協会によると、敦賀開業の効果が徐々に出ているという。

 富山市内のホテルでは、15日の立山黒部アルペンルートの全線開通後も予約が好調に推移する施設が目立つ。ANAクラウンプラザホテル富山の担当者は「GWの予約は昨年より多くなりそう」と見通した。

 黒部市宇奈月温泉のホテル黒部では敦賀開業後、関西圏の客が増え、宇奈月から金沢や福井に足を延ばすなど北陸を周遊する旅行形態も定着してきた。週末を中心に予約も好調で、GWは5月3、4日がすでに予約で満杯。女将の中島ルミ子さんは「北陸に注目が集まり、秋には黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放とさらに追い風が吹く。温泉街挙げてのおもてなしで盛り上げたい」と話した。

多くの観光客でにぎわう「ひみ番屋街」=氷見市内

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