「応接室、上座は①~⑤のうちどれ?」新入社員のみならず先輩達も意外とあやふや! “ビジネスマナー” 名刺交換からお辞儀の角度まで

新年度になり、各社では新人研修真っ只中。そして、一段落してそろそろ各部署へ配属となるころでしょうか。

そこで、色々と戸惑うことの一つに「社会人としてのマナー」があろうかと思います。「え?!そんなことしなきゃいけないの?」覚えることがいっぱい!実はこれ、もう先輩たちも忘れちゃっているかも知れません。

そんな新人・先輩問わず「社会人」と呼ばれる人たちのために、もう1回「ビジネスマナー」をおさらいしておきましょう。先日、岡山市内で新入社員や若手社員を対象にした「合同マナー研修」が行なわれているということで、伺ってみました。

研修が行われたは、岡山商工会議所(岡山市北区)の会議室。参加したのは【画像①】のような県内企業に勤めている若手社員16人。皆さん最初は緊張した面持ちでした。。。あぁ、こんなフレッシュな時代、あったなぁ。

指導にあたるのは、特定社会保険労務士として活躍する一方で、企業研修や講演活動などもおこなっている桑田朋美さん。【画像②】をご覧の通り、笑顔がとても素敵な方です。優しい口調で、若手社員の皆さんにマナーの基本を指導されていました。

マナーの基本、まずは「立ち方」から

ところで皆さん、「ビジネスマナー」をどれくらい実践していますか?筆者は社会人となって年月が経っていますので、「正確なのはどちら?」と改めて聞かれると迷ってしまうところもありました。そこで、取材中一緒に学ばせていただきました。

まずは「立ち方」からです。視線はまっすぐ目の高さ、背筋もお腹の筋も伸ばします。

そして足元がポイントです。内股にならないように、かかとは【画像③】のように男性も女性もくっつけましょう。それは何故かというと。。。

かかとをくっつけることで、時間がたっても揺れたり姿勢が不安定になったりしないためなのです。

続いては「手の位置」です。【画像④】のように、男性は横、女性はそっと前で重ねると良いとのことです。その時に、「目線をまっすぐにすること」を忘れないで!そう、大事なのは『目線』なのです。

あごの位置が少し変わるだけで、目線が変わってしまうのですが、それに伴って大きく「印象」も変わってしまうのです。それがどう変わるのかと言うと。。。

知っておこう!「目線が与える印象」

目線の位置が変わるとどんな印象を受けるのか、【画像⑤】が非常に分かりやすいのでご覧ください。

まっすぐの視線は「誠実さ」を表すといいます。

これが、、、
・少しあごを上にすると「自信」
・さらに上にすると「軽蔑」
といったニュアンスを与えてしまいます。

逆にあごを少し下げた時の目線は「謙虚」「控えめ」と見えますが、自信がないようにも見えるそうです。ただ、この目線、叱られているときやクレーム対応には適しているそうですから、そんなシーンに遭遇した時にお試しください。

しかしさらに目線を下げると今度は「疑惑」という印象に…。作業中など声をかけられたときに、目だけ相手のほうを向くといったときに、この「疑惑」の角度になるようですから、声をかけられたときは「全身で相手の方を向いて疑惑目線にならないよう」注意しましょう。

一般的な挨拶の角度は「30度」挨拶の時は「4」数えて!

続いては挨拶です。研修では【画像⑥】のように、若手社員の皆さんが一斉に挨拶の練習を行いました。

なお、なかなか角度を自分で認識するのは難しいかも知れませんが、

・一般的な挨拶の角度は30度
・軽い会釈は15度
・要人や貴賓に対しての最敬礼は45度
が目安なんだそうです。

この時の姿勢も大事。。。挨拶は、首だけでする「ペコペコお辞儀」ではなく、脊筋を伸ばすようにしてまっすぐ立ち、腰からしっかり上体を倒すようにします。

そしてタイミングは、「4」を数えながら以下の動作を実践してみてください。
1:下げる
2・3:止める
4:体を起こす

慣れるまでは、1・2・3・4と数えながらお辞儀するといいということです。

社会人になって初めて手にする「名刺」にドキドキ!

続いては名刺交換です。名刺は、初対面の方とあいさつに合わせて交換する「自己紹介ツール」。学生時代も持っていたよ、と言う方も中にはいるかも知れませんが、多くの方が社会人になってから初めて手にするのではないでしょうか。

名刺を持つ際のポイントは3つです。
①「腰より上」の高さで持つ
②「両手」で持つ
③「会社名や名前にかからないように」持つ

③は意外に意識したことがなかった、という方も多いかも知れません。

そして名刺交換が終わりホッとしたところで油断して下におろさず、常に腰より上の高さで持つことを忘れないで、とのことでした。

さぁ【画像⑦】のように、早速「名刺交換」の練習です。ここでよくある「迷うケース」に遭遇しました。それは。。。

新入社員に限らず。。。「名刺交換困ったあるある」

お互いに名刺交換をした際に、【画像⑧】のように「自分の名刺が相手の上にならないよう」気を付けてしまった結果、お互いの名刺がどんどん下に行ってしまう、なんてこと、皆さんは経験ありませんか?

その場合は、【画像⑨】のように「自分の名刺を相手の名刺入れに乗せる」ように持っていきながら、相手の名刺をすっと取ると良いそうです。うまくできない場合は同僚とお互いに練習するのもいいでしょう。

新入社員が避けて通れない最初の業務「電話応対」を学ぼう

続いては、電話応対の練習です。

【画像⑩】でも分かるように、最初は緊張した様子でおそるおそる始まりました。入社したばかりの方は、事務所で電話をとる機会も多いでしょう。

しかし、自宅の電話と違って勤務先にかかってくる電話は、かけてきた人の名前を伺いつつ、社内にいる人に取り次がないといけません。電話を受けながら聞こえてきた情報を素早く整理する必要があります。

電話対応のベースとなる「受け答え」の例が示されました。

新人「はい、●●社でございます。」
かけ手「私、☆☆社の◎◎と申します。」

新人「☆☆社の◎◎さまでいらっしゃいますね。(お名前を復唱)いつもお世話になっております。」
かけ手「こちらこそお世話になっております。恐れ入りますが、部長の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか。」

新人「はい、〇〇でございますね。少々お待ちくださいませ。」
まずは、この応対を繰り返して練習します。

担当者不在時にはどう対応するのでしょうか。次の1~4までの流れで進めていきます。
【1:おわび】
「申し訳ありません」
【2:状況説明】
「あいにく〇〇は席を外しております。」
【3:提案】
「よろしければ、戻り次第お電話をいたしましょうか?」
【4:意向伺い】
「はい、かしこまりました。それでは、恐れ入りますが念のためお電話番号をお願いいたします」もしくは「戻り次第その旨をお伝えしておきます」という風に、相手の意向に沿って対応していきましょう。

通話が終了したら、原則としてはかけた方が先に切りますが、自分がかけた時でも、相手がお客様や目上の方の場合はすぐ切らずに様子を聞きながら対応しましょう。先方が切らないようでしたら、静かにフックを押してそっと切ります。

みなさん緊張しながら電話応対練習をしていました。

講師の桑田さんは、電話は「職場の代表である」という気持ちを忘れずにとおっしゃっています。また、電話を受けるときは、「明るく」「はっきり」「ゆっくり」を心がけて。そして慣れるためにも「どんどん電話を取りましょう」とも仰っていました。

ソファーと一人掛け どちらが「上座」?

もう一つ、知っておくと便利な「上座」についてご紹介しましょう。

応接室などの「上座」は目上の人やお客様などが座る席のことで、基本的には出入口から一番遠い席とされています。一方「下座」は、上座に座る人をおもてなしする人が座る席です。出入口から一番近い席が下座になることが一般的です。

また部屋にある椅子では、「一人掛けよりソファーのほうが格上」となることを知っておくと便利ですね。サムネイル(表紙)の画像にある数字は、応接室で「目上の方から座る順番」を表しています。一番目上の方は、ソファーの真ん中でなく一番奥になります。

また、【画像⑫】で紹介しているように、車の中の座る位置にも順番があります。「助手席」と「後ろの3人掛けの真ん中席」、どちらが「上」か、皆さん御存知でしたか?

ちなみに【画像⑫】は、「タクシーのように運転手がいる場合」の順序です。「社内の人間が運転し、社内の人間だけで乗る場合」は、スペースが広い「助手席」が上座になります。

なお、「お客様が着物の場合」や、「足が悪い時」など特別な事情があるときは、お客様が一番座りたい場所に座っていただくこともあります。その場合は「恐れ入りますが…」と先方の希望する場所をさりげなく聞いて対応するといいでしょう。

社内でこういった順番を知っておくと、来客時や車に乗るときに、スムーズにお客様をご案内できますね。

主なビジネスマナーをご紹介しました。皆さんどのくらい覚えていましたか?

さて、この日研修を受けたフレッシュな皆さん、しっかりと学んだことを生かして社会人生活を充実させてくださいね。

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