「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。第32回は【ミント】です。
本連載の他、桐原春子さんの記事はをご覧ください。
さわやかな香りが魅力的な【ミント】
さわやかな香りが特徴のミント。日本ではハッカとも呼ばれ、古くから親しまれているハーブです。ティーでおなじみですが、それ以外の活用法も覚えましょう。
別名/ハッカ(和名)
科名/シソ科
性質/多年草
草丈/10~100㎝
リフレッシュ効果満点の清涼感あふれる香り
北半球の温帯などに自生し、清涼感のある芳香を放つミント。
「ギリシャ時代から薬用に使われ、リフレッシュ効果は折り紙つきです。蒸し暑い季節に、葉をパンとたたいて香りを立たせ、水やジュースに入れて飲んでみてください。本当にすっきりします。食用に使いやすいのはペパーミントとスペアミントで、ペパーミントのほうが鼻から喉にクッとくるような強い香りですが、好みのほうをどうぞ」と話す桐原春子さん。
日本では生やドライの葉がミントティーによく利用されますが、桐原さんによると、英国ではラム肉のローストにミントの葉を使ったミントソースを添える食習慣もあるそうで、活用法は幅広くありなす。
「フランスではミントをどっさりトッピングしたラーメンに出合ったこともあります。サラダにミントの葉を散らしたり、クッキーに葉を混ぜて焼いたり、鍋料理の具に使っても美味しいですよ」
ミントには、リンゴの香りがするアップルミントや、葉に白い斑が入るパイナップルミントなど多くの種類があります。葉が美しいので、ブーケ作りにも適し、ドライミントを袋に詰めたサシェや、ポプリなどクラフトにも使いやすいところも魅力。
3年たったら株分けして植え替えを
ミントは繁殖力が旺盛で、地植えにすると茂りすぎたり、交雑して香りが変化したりすることもあるので、桐原さんは鉢植えで育てることをすすめている。
「鉢の縁まで根がびっしり回ったら、シャベルで根を切っても大丈夫。また、5年くらいで株が突然だめになることがあるので、3年ほどたったら株を抜いて根を分け、新しい土で植えなおすとよいでしょう」
スペアミント1苗をペイントしたプラ鉢に
水性塗料でブルーにペイントしたプラスチック鉢にスペアミントの苗を植えました。鉢をたくさん作って並べても楽しく、葉もふんだんに使えます。育てたミントを眺めながら、葉を浮かべたミントウオーターを飲めば気分爽快!
薄紫の花が咲くのも楽しみです。苗が大きくなったら、大きな鉢に植え替えて。
活用アイデア①② 3種の生春巻きとピンプス風ミントドリンク
もっちりした皮と具材が調和しておいしい生春巻き。スペアミントが味をさわやかに引き締めます。ピンプスは夏の英国で好まれるお酒ですが、今回はノンアルコールで。
きゅうりやフルーツの色どりがとてもきれい!
生春巻きの作り方(2人分)
❶生春巻きの皮は3枚用意する。1枚をもどして広げ、チマサンチュ1枚、かに風味かまぼこ2本、棒状に切ったクリームチーズとセロリ各適量、スペアミント(フレッシュ・以下同)適量を置き、手前から巻き包む。
❷2枚目の皮をもどして広げ、チマサンチュ1枚、棒状に切ったアボカド、スモークサーモン、姫たけのこ(水煮)、スペアミント各適量を置き、①と同様に巻く。
❸3枚目の皮をもどして広げ、チマサンチュ1枚、ゆでたむきえびとグリーンアスパラガス、スペアミント各適量を置き、①と同様に巻く。
❹①、②、③を半分に切り、スイートチリソースやナンプラー、XO醬、マヨネーズなど、好みのソースを添える。
ミントドリンクの作り方(1人分) ※材料はいずれも適量。
❶大きめのグラスに、いちご、薄切りにしたオレンジとりんご、レモン、斜め薄切りにしたきゅうりを入れる。
❷①に砕いた氷を入れ、レモン汁、炭酸水、ガムシロップを加えて混ぜる。ライムの薄切りを飾り、スペアミント(フレッシュ)をのせる。
※市販のレモンスカッシュを使用してもよい。
活用アイデア③ 2種のミントのモイストポプリ
フレッシュまたはドライハーブや花を粗塩に混ぜたり、上にのせたりして作るモイストポプリ。今回は2種のミントですっきり仕上げました。
‘イエルバブエナ’ は、キューバのカクテル・モヒートに欠かせないミントです。クリスタルなどのラッキーアイテムも添えて。
ミントが乾いて色が変化したら、葉をくだいて塩と混ぜなおしたり、好みの花を塩の上に追加したりするのがおすすめです。
作り方(作りやすい分量) ※ミントはいずれもフレッシュを使用。
❶粗塩カップ1/3をポリ袋に入れ、スペアミントの葉12枚ほどと軽く混ぜ合わせる。
❷皿に粗塩カップ2/3を敷き、①を均等にのせる。中央にスペアミント適量を置き、まわりにミント ‘イエルバブエナ’ 適量を置く。好みの場所にクリスタルを置き、あればミントの結晶(ハッカ脳、ミントクリスタル)適量を散らす。
撮影/川部米応
※この記事は「ゆうゆう」2020年6月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。
監修者
園芸研究家 桐原春子
英国ハーブソサエティー終身会員。長年、自宅でさまざまな植物を育て、家庭での実用的かつ美しい庭づくりを提唱。国内外の多くの庭を訪れ、ハーブの歴史、育て方、利用法を研究。カルチャースクールでハーブ教室の講師を務める。『知識ゼロからの食べる庭づくり』(幻冬舎)など著書多数。ブログ「桐原春子のハーブダイヤリー」やインスタグラムでも情報を発信中。