逆転Vに繋がる馬瓜エブリンの熱 チームに植え付けた意識、高田真希に「頼るのはもうやめよう」【バスケWリーグ決勝】

プレーオフ決勝第1戦に出場した馬瓜エブリン【写真提供:Wリーグ】

「京王 presents Wリーグプレーオフ2023-2024」ファイナル

バスケットボール女子Wリーグのプレーオフ決勝第1戦が13日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで行われ、デンソーは富士通に57-64で敗れた。16年ぶり2度目のリーグ制覇に王手をかけられ、悲願の初優勝へ崖っぷち。両チーム最多の21得点を挙げた28歳の日本代表・馬瓜エブリンは、大黒柱の高田真希がファウルアウトで途中離脱する逆境の中、プレーと態度でチームを鼓舞し続けた。

溢れんばかりの気迫が4階の記者席まで伝わってきた。第2クォーター(Q)残り25秒。林咲希をガードした馬瓜は、バランスを崩して転倒。「倒されたと思った」。笛は鳴らず、林に3ポイント(P)を許した。29-36に広げられる窮地。「ハイライトをつくられてしまった。そういう終わり方をチームに見せたくない」。直後に反撃の3Pを沈め、繰り返した雄叫び。全身の熱はチームに伝染した。

35分の出場で21得点、7リバウンド、5アシスト、2スティールをマーク。ルーズボールを必死で追い、味方のために体を張った。随所で光った数字に表れない献身的なプレー。「自分の持てる全て、態度がチームメートにどう映るかも凄く理解しているつもり。それぐらい気持ちを出して鼓舞していかないといけない」。中心選手の強い自覚を持ってコートを駆けた。

2季連続リーグMVPの高田がファウルトラブルに悩まされた。第2Q中盤に3つ目を犯してベンチへ。第3Q残り8分から第4Q残り2分28秒までプレーしたが、痛恨のファウルアウトで離脱。「(高田に)頼ってプレーするのはもうやめよう、自分たちで流れをつくっていくんだ」。馬瓜は開幕当初から仲間に伝えてきた。精神的支柱を失っても「そこでガクっと落ちたことはない」と強調。また体を張った。

トヨタ自動車で連覇を経験し、1年の休養を経て今季からデンソーに加入。だからこそ見えること、言えることがある。「『鼓舞し続ける』にもいろんな意味があると思う。明日もやっていきたい」。逆転での初優勝へ、チームを牽引する意気だ。

THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro-Muku

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