【10年ひと昔の新車】アウディ A1に使いやすい5ドアのスポーツバックが登場した

「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、アウディ A1スポーツバックだ。

アウディ A1スポーツバック(2012年:ニューモデル)

全長やホイールベースは3ドアと同じだが、ルーフ後方をわずかに持ち上げて後席のヘッドスペースを拡大している。

昨年(編集部註:2011年)の東京モーターショーでワールドプレミアされたアウディのA1スポーツバック。 とサイズは変わらないが、5ドアとなって使い勝手を向上。走りっぷりも変わりなく、日本市場ではこちらの方が人気を呼ぶのは間違いなさそうだ。

ル・マン24時間レースで圧倒的な強さを見せつけ、一方で市販車の販売についても世界的に好調が伝えられるなど、何かと良い話題ばかりが続く(編集部註:2012年当時)アウディ。そのエントリーモデルとして登場したA1の日本導入から1年半あまり、5ドア版のA1スポーツバックが発売された。車両価格は3ドアのプラス20万円だ。

日本市場で2ボックス車といえば、使い勝手の面で有利な5ドアが主流。同車のフロントドアの前後長は3ドアより240mmも短く、おかげで狭い駐車場でも乗り降りしやすくなった。また、3ドアと共通のクーペ的なルーフラインを崩さない程度にルーフ後方をわずかに持ち上げ、後席乗員のヘッドクリアランスを11mm拡大。さらに、背もたれの角度が立ち気味なところが少々気になるが、後席が3ドアでは2人掛けのところ、3人掛けとなった。

ボディカラーは3ドアより1色少ない全9色から選べ、特徴的なオプションの「コントラストルーフカラー」が、3ドアではルーフアーチ部のみであるのに対し。5ドアではルーフ全体となる。また、3ドアでは選べるスライディングルーフ「オープンスカイルーフ」は、5ドアには設定がない。そのあたり、選択に迷っている人にとっては、判断材料になるだろう。

インテリアは基本的に3ドアと同じ。マルチメディアインターフェースは標準装備だがカーナビはオプション。

乗り心地は3ドアよりも良いかもしれない

1.4L ターボエンジンは低速域から力強く加速し、7速Sトロニックのレスポンスも良くダイレクト感のある走りをもたらす。

その他の主要な部分は3ドアとほぼ共通。1.4LのTFSIエンジンは低速域から力強く加速し、不満を感じることはない。7速Sトロニックは瞬時のシフトチェンジとダイレクト感のある走りをもたらしてくれる。

フットワークも上々で、小さな車体に不似合いなほど操縦安定性が高い上、応答遅れのないクイックなハンドリングを両立させている。15インチ仕様と17インチ仕様では、15インチ仕様のほうが乗り心地では気になる部分が少ないものの、マッチングは17インチの方が上という印象。また、心なしか3ドアの出た当初よりも乗り心地が良くなったように感じられた。

インテリアでは、ジェット機の翼をモチーフにしたというインパネや、本革ミラノレザーの上質なシートもオプションで選べる。こうした点なども、プレミアム ブランドのアウディならではのコンパクトモデルらしいといえるだろう。

A1スポーツバックは、ダウンサイジングが求められる中、コンパクトな車体にプレミアム性を詰め込んだ、付加価値の高いモデルだ。3ドアであることを理由にA1の購入をためらっていた人にとっては、まさに待望の5ドアの追加だろう。

ミラノレザーのスポーツシートはパッケージオプション。シートヒーターは備わるがアジャストは手動となる。

●全長×全幅×全高:3970×1745×1440mm
●ホイールベース:ーmm
●車両重量:1220kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1389cc
●最高出力:90kW(122ps)/5000rpm
●最大トルク:200Nm(20.4㎏m)/1500ー4000rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・45L
●JC08モード燃費:17.8km/L
●タイヤサイズ:205/55R15
●当時の車両価格(税込):293万円

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