「うまくいかない時って、どうやっても当たらないので」ソフトバンク山川穂高が満塁本塁打を打った直後に見せた表情の理由

6回1死、西武・水上(手前)から満塁本塁打を放つ山川(撮影・伊東昌一郎)

◆西武2―11ソフトバンク(13日、ベルーナドーム)

ソフトバンクの山川がNPB史上2人目となる2打席連続満塁本塁打を放った。

1本目は3点リードの6回1死満塁。2番手水上の高めに浮いたスライダーを振り抜いた。打球は左中間スタンド最前列に飛び込む一発。ダイヤモンドを1周し、チームメートとハイタッチする際、その表情はくしゃくしゃになっていた。

「当たってくれたという。やっぱりうまくいかない時ってどうやっても当たらないので。そこは苦しかったので、そういう表情になったのかなと」

1本目の満塁弾は開幕戦以来の一発。古巣での初戦となった12日の試合では4打数1安打、3三振で打率も13日の試合前時点で2割と決して満足のいく成績ではなかった。「打てない時って本当にホームランどうやって打つんだっけって感覚にもなります」とも語る。開幕から続いていた苦悩を一気に振り払うような一打となったからこそ見せた表情だった。

8回にも満塁弾が飛び出し、1試合2本の満塁本塁打は2006年4月30日の中日戦(東京ドーム)で巨人二岡智宏が記録して以来の大記録を打ち立てた。一気に波に乗りたいところだが、主砲は冷静だった。「ヒットよりは本塁打の方が僕は乗っていけますので。そういう意味では乗れるとは思います。ただ、昨日も今日も明日もそうですけど、いい投手からずっと打ち続けるのは難しい。そういう意味では明日もとりあえず1本、いいところで1本打ちたいなという思いはありますね」。大喜びせず、1本ずつ本塁打を重ねていく。山川らしい前の向き方だった。(鬼塚淳乃介)

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