リメイク版を含めた『ドラゴンクエスト』シリーズをプレイしていると、いつの間にか定番化されたダンジョンの仕掛けを目にする。有名な『ドラクエ3』の「ひとくいばこ」や『ドラクエ2』の落とし穴など、遭遇して焦った覚えがある。
そこで、意外な初登場にビックリした、シリーズを通して何かと悩まされるダンジョンの仕掛けを見てみよう。
■「パデキアのたね」を諦めたくなった…『ドラクエ4』パデキアの洞窟にある「すべる床」
ラストダンジョンでもお馴染みといえるのが、矢印の先端がある「すべる床」だ。氷の床とは違い、これに乗ると矢印の方向へ進んでしまう。そのまま落とし穴に直行することもあれば、元の位置へ戻ってくることもある。
初登場は『ドラクエ4』のパデキアの洞窟だ。ここへは病に侵されたクリフトを助けるため、「パデキアのたね」を取りに行かなくてはならない。仲間となってくれるブライが第二章で“ヒャダルコ”を覚えていると無双状態になる。
ブライはすばしっこい老人なので先制攻撃できるのはありがたかったが、ただ、パデキアの洞窟にはヒャド系が効きづらい敵もいるので要注意だった。
さて、このダンジョンの「すべる床」はちょっとややこしい。滑ってたどり着いた先に、もう一つ「すべる床」が用意されている。実はこれに乗ると、また迂回しなければならなくなってしまうのだ。
自動的に滑っていくので、「バリアフリーじゃ!」なんてブライも喜びそうなものだが、間違ったルートだとやり直しになるので、非常に面倒なダンジョンでもあった。
地下2階も大変だが、「パデキアのたね」がある地下3階は全体に敷き詰められていたので、目が痛くなるほどよく観察しないといけなくて大変だった。まったくクリフトのためとはいえ、初対面なんだから諦めても良さそうなものだけど……。
■ダメージ1だけど怖かった『ドラクエ2』海底の洞窟の「溶岩」
『ドラクエ2』で初登場となった「溶岩」のダンジョン。この上を通るとダメージを食らってしまうのだが、普通に考えると溶岩の上を歩くなんて無茶ぶりもいいものである。
本作では、クリアに必須な「じゃしんのぞう」が海底の洞窟にあるので、この溶岩を避けて通れない。ダメージはわずか1なのだが、ファミコン版は“トラマナ”が無効なのでどうしてもダメージを負ってしまう。
たかだか1なら大丈夫だろうと思うことなかれ……このダンジョンは敵も強力で、HPやMPの消費が激しい。ずっと歩き回っているといつの間にかHPがヤバい……なんてことになってしまうのだ。
さすがにリメイク版では“トラマナ”が効くようになり、ありがたかった。ただ、ファミコン版だと中断セーブができないどころか、万が一全滅しようものなら「ふっかつのじゅもん」を入力しないといけない。
ここまで来るまでに、何度か入力ミスをしているプレイヤーも多かったことだろう。それだけにダンジョンで全滅なんてもってのほかであり、緊張感はリメイク版の比ではなかった。ダメージ1とはいえ、やたらと怖かったものだ。
■初見プレイでは気付けなかった…『ドラクエ1』竜王の城、『ドラクエ2』のロンダルキアへの洞窟にある「無限ループ」
ダンジョンでお馴染みの罠といえば「無限ループ」だ。シリーズを通してプレイヤーを悩ませる仕掛けでもあるが、実は初代『ドラクエ』から登場しているのを覚えているだろうか。
ラストダンジョンとなる竜王の城では、地下5階へ降りる階段を間違えてしまうと「無限ループ」に迷い込んでしまう。これはリメイク版でも同様だ。
しかも、本作のダンジョンは視界が狭く、ファミコン版は進路が直線(リメイク版は違う)だったので「無限ループ」だと気づけず、引き返すくらいなら突き進もうと思ってしまったもの。
ただ、初代『ドラクエ』では、この階段を通らずに竜王のもとへとたどり着いたプレイヤーも多いだろう。しかし、『ドラクエ2』に登場する「無限ループ」は多くのプレイヤーを地獄に突き落とした。
その場所はもちろん、本作で屈指の難易度を誇るロンダルキアへの洞窟だ。しかも、2階と6階の2カ所にあるから、非常にやっかいだった。
まずは2階だが、ここは階段のあるフロアを通り過ぎてしまうと「無限ループ」にハマってしまう。 ただ、こちらは挽回も可能なのでまだマシだが、キツかったのは6階だ。
こちらは各フロアにある分岐点で間違ったルートを通ると、最初の地点(6階)までやり直しとなる。なんでやねん!と、当時何度叫んだことか……。最初は意味が分からなかったが、何度かやり直しているうちに「無限ループ」のような構造だと気付く。
「メモを取りながら行けばいいじゃん」なんて令和の子どもたちには言われそうだが、ファミコン版のロンダルキアへの洞窟で6階までたどり着いたことを想像してほしい。
「いのちのもんしょう」のおかげで出直しをくらい、たまたま取った「いなずまのけん」に感激しても、またやり直し……。しかも出現する敵は強者ばかりで、5階の落とし穴攻撃などを超えてヘトヘトになりながら着いた6階で「無限ループ」……。メモを取る気力なんて残っていない。
やっと抜けた先は白面の台地。「おお!」と感激したのも束の間、ギガンテスやサイクロプスといった一つ目の巨人にビビり、シルバーデビルの“あまいいき”で眠らされ、ブリザートの“ザラキ”で撃沈……。そうして、また「いなずまのけん」から取り直すという試練が待ち構えていたのだった。
さて、紹介してきたようなダンジョンの仕掛けは、良くも悪くもプレイヤーを飽きさせないために必要なものなのだろう。それにしても、『ドラクエ2』の「無限ループ」は今考えてもとんでもない仕掛けだったな。
やっとあそこまで行ったのに……そして、やっと抜けたのに……という絶望の連鎖で、何度も心が折れかけたものだ……。