新卒社会人、入社4日目で嘔吐 試用期間制度に注目「早めに見切りをつけて転職した方が」

新卒社会人が働いてみて苦悩を感じることも(写真はイメージ)【写真:写真AC】

入社4日目で通勤途中に吐いてしまう「行きたくない」「この仕事向いてない」

この4月で新生活がスタートする一方で、新たな環境に慣れていくのは大変なことだ。新社会人として社会に出て働き始めた人の中には、学生時代とのギャップを感じたり、職場環境や人間関係の変化によって「こんなはずじゃなかった」という悩みを抱えている人もいるかもしれない。もともと趣味で好きだったアウトドア分野の企業に新卒入社した20代の男性は「学生の頃は社会人がこんなつらいものなんて想像してなかった」と、日々の仕事に悪戦苦闘。もがき苦しんている。新卒社会人のリアルな胸中に迫った。

アウトドアが大好きで、学生時代から接客業のアルバイトをしていたことで、「お客様と関わることが好き」と、現在の仕事に就職先を決めた。

晴れて大学を卒業し、4月からいざ社会人として働き始めると、「労働」は想像以上のものだった。

自身について他人とのコミュニケーションが苦手な「コミュ障」だと説明する。社会人1日目の入社式から吐き気を感じた。2日目に満員電車に参ってしまい、研修期間中の4日目で通勤途中に吐いてしまう。初めての休日は疲れすぎで気絶。現在は勤務してもトイレにこもってしまうことも。「行きたくない」「この仕事向いてない」と暗い気持ちを抱えながら、なんとか日々の業務をこなしているとのことだ。

学生と社会人のギャップは特に感じていないが、「ただ、学生の頃と違いコミュニケーションを怠ってはいけないと常に感じるようになりました。休憩中の会話や仕事後の飲み会など、断ると今後どう思われるのか考えるようになりました。それが積み重なってプレッシャーになっているのかもしれません」。上司世代はいわゆる飲みニケーションを求めしてしまいがちだが、Z世代と呼ばれる新卒世代にとっては、それが悩みの種になっている現状があるそうだ。

日本でも雇用・人材の流動化が少しずつ進んでおり、転職市場が活気を見せ、「働き方」の選択肢が広がっている。退職に関しては会社の社風と労働者との“合う合わない”のミスマッチの問題もあるだろう。新卒者としての考えとは。

ここのところ退職代行サービスが社会ニュースで報じられるようになっており、男性も強く関心を抱いているという。そのうえで、「1つの会社に定年まで勤めるという時代は終わったように感じます。働き方改革が行われましたがまだまだ改善されていない企業が多く、パワハラや長時間労働などが多く存在するため、退職代行などの利用者が多いのだと思います。精神を壊しながら働き続けてうつ病になるくらいなら、早めに見切りをつけて転職した方が将来的にもいいと考えています」との見解を示す。また、短期離職というだけでその後の就職・転職活動が不利になってしまうことに懸念を抱いているという。

「試用期間の在り方が変わればありがたいなと思います」

男性はある仕組みに着目している。労働者の職業能力や適性を評価・確認するために会社側が設ける「試用期間」だ。

「今現在も試用期間というものがありますが、企業側だけが見切りをつけるものではなく、働く側も今後この会社で働き続けることができるかを考えることができる制度だとありがたいと思いました(試用期間で退職しても職歴には傷がつかないようだとなおありがたいです)。新卒短期離職者で入社前に聞いていた雇用条件と違うと言っている人が多いため、そういったことを防ぐためにも試用期間の在り方が変わればありがたいなと思います」と話す。

男性にとって心身の回復、健康維持は課題でもある。自身の今後についてどう考えているのか。

「何をするにも心の健康は欠かせないものだと思うので、自分を大切にしながら自分のペースで自分の人生を歩もうと思います。また、短期離職にもさまざまな理由(雇用条件が入社前と違うやパワハラなど)があるということを少しでも多くの人が理解し、新社会人がそれほど重く悩む必要もなくなる社会になることを願います」と話している。ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム

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