トイレの壁一面に魚魚魚…まるで水族館! 兵庫・明石のレストラン 水漏れ、費用など完成までの道のりオーナーが語る

大きな水槽が広がる女子トイレ=明石市松江

 兵庫県明石市の林崎松江海岸沿のレストラン「ヒポポパパ」(同市松江)に超豪華な気分が味わえる女子トイレがあると聞いて訪れてみた。(領五菜月)

 店内に入ると、大きな窓に瀬戸内の海が広がる。海辺の絶景を見ながらゆっくりコーヒーを飲みたい気持ちをぐっと我慢し、本日の目的であるトイレに向かう。

 入り口は何と自動。開いたドアの向こうにガラス張りの巨大水槽が広がった。色とりどりの数え切れない魚が泳いでおり、幻想的な雰囲気さえ漂う。これは水族館だ。

 同店は1985年にオープンした。トイレの水槽はオーナーの宮永幸一さん(75)が葛西臨海水族園(東京)で巨大な水槽内を回遊するマグロを見た際に思い付いた。「これをトイレに造ったら面白い」。水族館トイレの計画が始まった。

 友人5、6人で何度も構想を練ったが、完成までの道のりは長かった。水槽を造っても強度が足らず水が漏れる。3カ月かけ、3度の失敗を経て、ようやく成功した。深さ約2メートルの水槽。約16トンの水に30匹の魚が泳ぐ水族館が三十数年前に完成した。費用は総額約3千万円とか。

 初めて見た客の反応も大きかった。驚きのあまり、興奮しながら手を動かして友人や恋人に説明する人もいたという。宮永さんは「盆踊りしてるみたいに手を広げてるお客さんがいっぱいおったわ」と笑う。

 年々魚の数が増え、現在は200匹ほどに。宮永さんが毎日ろ過装置の掃除や餌やりなどの世話をする。「水槽の管理が大変やねん」と言いつつ「店がある限り、トイレも維持したい」と思い入れは強い。

 水槽があるトイレは女性専用のため、男性は利用できない。見学を希望する人は必ず店員への申し出が必要。不定休。午前10時~午後5時半。TEL078.923.0253

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