明治政府の重役の思いとは 福澤諭吉の考えとの違いも解説 70人が聴講/岡山・津山市 

津山洋学資料館の第77回文化講演会(岡山県津山市主催)が13日、津山市西新町の同館で開かれ、県内外から訪れた70人が、幕末から明治時代を駆け抜けた津山市出身の津田真道や同僚の西周=島根県津和野町出身=ら政治家、啓蒙学者について学びを深めた。

主に武士道について研究を進めている早稲田大学文学学術院の谷口眞子教授が「近代的啓蒙と明治日本の国家構想」と題し、幕末藩士であり、明治政府の重役も担ってきた2人の生い立ちとその思い、同じ時代を生きた思想家・福澤諭吉の考えとの違いなどを解説した。

谷口教授は、3者の中で儒学や漢学より洋学を重視する福澤に対して津田と西は双方に理解を示し、学びを深めて考えを形成したことを説明。「一身独立して一国独立する」と説いた福澤に反論し、ヨーロッパの思想に一辺倒せず、主君・徳川慶喜への忠誠心は忘れなかった津田と西らについて「幕藩体制下で生きてきた人々が維新後も生き続けられる国家、社会をつくろうとした」などと語った。

都立高校の教員を務めた経歴のある杉山智子さん(64)=津山市田町=は「藩士から明治政府の役人へ変わった人は『容量良く立ち回った』と悪いイメージを持つ人もいて、腑(ふ)に落ちなかったが、本当は幕臣としての精神と海外への深い造詣を備えているからこそ重用されたことがわかり、すっきりした」と話していた。

津田真道らについて話す谷口教授

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