クマの頭数減らす捕獲可能に…福井県が維持目的の保護計画廃止へ 相次ぐ出没や人身被害受け2025年4月から

民家敷地内にある柿の木に登ろうとするクマ=2023年11月、福井県鯖江市

 2023年度にツキノワグマの出没や人身被害が全国で相次いだことを受け、福井県は4月11日、頭数を減らすことを目的としたクマの捕獲が可能になる「管理計画」を24年度中に策定し、25年4月に施行する方針を示した。現状は狩猟と人身被害防止の捕獲に限られており、計画策定で対策強化につなげる。繁殖力が弱いことから、過度な捕獲とならないよう配慮する。

 冬眠明けのシーズンを迎え、市町など関係機関の出没対策連絡会が同日、福井県庁であり、県自然環境課の担当者が方針を説明した。

 クマ対策を巡り、国は絶滅の危険がある四国を除き、4月にもイノシシやシカと同じ「指定管理鳥獣」とし、都道府県が行う捕獲事業を交付金で支援する方向性を示している。こうした動きも踏まえ、県は個体群の安定的な維持などを狙いとした保護計画を24年度で廃止し、管理計画に移行することにした。

 現状の保護計画は、捕獲の上限を年間156頭と設定。連絡会出席者からは上限の引き上げを求める意見も出た。管理計画策定に向け、県自然環境課の担当者は「生息数自体増えていると考えられるが、上限は調査などを踏まえて検討したい」と慎重な姿勢を示した。

 連絡会ではこのほか、県内で23年度に前年度の2.4倍となる766頭の目撃などがあり、人身被害が2件発生したことが報告された。このため管理計画施行を待たず、県は24年度にも対策を強化する方針を強調。市町職員らを対象に、はこわなに関する技術研修を初めて実施するほか、クマを人里に近づけないよう樹木を伐採する自治会などへの補助について上限を5万円から10万円に引き上げるなどとした。

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