4月13日、イタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ（ミサノ）にて2023／2024年ABB FIAフォーミュラE世界選手権第6戦ミサノE-Prixが行われ、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ（タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム）がトップでチェッカーを受けたもののレース後の車両検査で違反が発覚し、2番手のオリバー・ローランド（ニッサン・フォーミュラEチーム）が繰り上がりで優勝を飾った。
イタリアにあるクローズドサーキットのミサノを舞台に、ダブルヘッダーの大会が開催されているフォーミュラE。今回は、普段のストリートサーキットとは異なる道幅の広いコースとあって、決勝レースはまれにみる激しい展開となったが、その勢いはチェッカー後の一波乱を呼び込んだ。
同日の午前中に行われたデュエル形式の予選では、ミッチ・エバンス（ジャガーTCSレーシング）がポールポジションを獲得し、レースは午後の決勝へ。ミサノでの大会は初であったため、未知のままにスタートを迎えた決勝レースは、終始ほぼすべてのコーナーで順位変動が起きる大混戦となった。
普段よりも高速なサーキットのためにエネルギーマネジメントが難しくなることから、とくに前半は各車予選タイムよりも5秒以上も遅いペースで走行しており、優勝経験ドライバーらが繰り広げる戦略的なポジション争いが激化した。隊列は瞬く間にシャッフルされ、ジャガー、ポルシェ、DSペンスキー勢が先頭集団を形成、そこにニッサンのローランドやマキシミリアン・ギュンター（マセラティMSGレーシング）も加わっていく。
周回ごとに首位が立ち替わる展開となり、コース全域でバトルが発生するなかでポイントランキング2位のニック・キャシディ（ジャガーTCSレーシング）や、ランキング首位のパスカル・ウェーレイン（タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム）が他車と接触。エアロを破損してしまい、緊急ピットインを余儀なくされた。
その後、アタックモードによるペースの上昇や、続発する接触によって徐々に戦列は厳選されていき、ダ・コスタを先頭にローランド、ギュンター、ジャン-エリック・ベルニュ（DSペンスキー）、ジェイク・デニス（アンドレッティ・フォーミュラE）らによる首位争いが繰り広げられる。
終盤は、エネルギーマネジメントの差がペースを左右する展開となり、各車バッテリー残量を絞り切るペースアップを見せる。ローランドが首位をキープして迎えた残り3周、ダ・コスタがトップを奪い返す。この時点でバッテリー残量のリードを持つダ・コスタは、リードを保つ快走を見せて首位でチェッカー受けた。この時点では、ローランドが2大会連続となる2位となり、3位には17番手から大きくポジションを上げたデニスが入っていた。
しかしレース後の車両検査にて、ダ・コスタのマシンに使用されていたスロットル・ダンパー・スプリングが規定されている3種類と異なることが発覚。最終的にダ・コスタには失格の裁定が下り、ローランドが繰り上がりで優勝、デニスが2位、3位は東京E-Prixで勝利したギュンターが獲得した。
ローランドにとっては、2019／2020年ベルリンE-Prixでの初優勝以来となる3年ぶりの勝利となり、昨季にニッサン・フォーミュラEチームとして新体制となったチームにとっては初優勝となった。そしてローランドは4大会連続の表彰台獲得で、ポイントランキング首位に浮上している。
ダブルヘッダーレースとして開催されているミサノE-Prix。続くレース2は、日本時間14日（日）の15時よりフリープラクティス2、17時20分より予選、22時03分より決勝レースが行われる予定だ。
■2023／24年フォーミュラE第6戦ミサノE-Prix 順位結果
Pos. No. Driver Team Time／Gaps Grid
1 22 O.ローランド ニッサン・フォーミュラEチーム 40’05.176 5
2 1 J.デニス アンドレッティ・フォーミュラE 3.003 18
3 7 M.ギュンター マセラティMSGレーシング 3.788 7
4 33 D.ティクトゥム ERTフォーミュラEチーム 4.554 16
5 9 M.エバンス ジャガーTCSレーシング 5.673 1
6 25 J-E.ベルニュ DSペンスキー 7.559 2
7 17 N.ナト アンドレッティ・フォーミュラE 7.588 12
8 2 S.バンドーン DSペンスキー 7.639 17
9 23 S.フェネストラズ ニッサン・フォーミュラEチーム 7.768 11
10 11 L.ディ・グラッシ ABTクプラフォーミュラEチーム 7.967 15
11 51 N.ミューラー ABTクプラフォーミュラEチーム 8.311 4
12 16 S.ブエミ エンビジョン・レーシング 13.447 10
13 5 J.ヒューズ ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム 13.705 22
14 21 N.デ・フリース マヒンドラ・レーシング 18.051 20
15 3 S.セッテ・カマラ ERTフォーミュラEチーム 57.526 21
16 94 P.ウェーレイン タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム 1’04.968 3
17 4 R.フラインス エンビジョン・レーシング 1’18.360 9
0 18 J.ダルバラ マセラティMSGレーシング DNF 19
0 37 N.キャシディ ジャガーTCSレーシング DNF 8
0 48 E.モルタラ マヒンドラ・レーシング DNF 14
0 8 S.バード ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム DNF 6
0 13 A.F.ダ・コスタ タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム DNF 13
投稿 ニッサン・フォーミュラEが初勝利。暫定トップのダ・コスタに違反発覚でローランドが繰り上がり優勝 は autosport web に最初に表示されました。
