一時は騒然のシーンも… 巻き返しの“イーグル奪取”でS・シェフラーが大会2勝目に王手

<マスターズ 3日目◇13日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7555ヤード・パー72>

首位タイで迎えたムービングデーのスタートホールでチップインバーディを獲り、パトロンたちを大きく沸かせた2022年大会覇者のスコッティ・シェフラー(米国)。一時は後半のトラブルで順位を落としたものの、トータル7アンダー・単独首位で最終日に進めた。

前半は1アンダーでハーフターン。後半は出だし10番パー4の2打目がピン横に着弾するとグリーン奥にいるパトロンたちのところまで転がってしまう。思わず口に手をあて呆然と立ちすくむ姿があった。3打目のベアグランドからのアプローチはカップを通り過ぎ約18メートルオーバー。3パットのダブルボギーを喫した。次の11番では流れを変えられずボギー。2ホールでスコアを3つ落とすこととなった。

「8番と9番のあたりでいくつかチャンスを逃したように感じた。10番でまともなショットを打ったが、ピンのそばまで落とすつもりはなかった。悪い突風が吹いて、ピンから3メートルのところに落ちて、結局奥の茂みに落ちてダブルボギー。11番でもボギーを叩いて、突然、首位から数打の差をつけられた」と悲劇のシーンを振り返る。

そして迎えた13番パー5で、パトロンたちの両手が勢いよく上がり大歓声が起きた。217ヤードのセカンドショットをアイアンでピン9.4メートルまで寄せた。イーグルパットはゆっくり転がりカップに吸い込まれた。「カップに入るかどうかわからなかったけど、エッジのすぐ上をかすめて入ってくれたんだ。だからエキサイティングだったし、13番で2ショットを奪って首位に復帰できたのはよかった」と笑顔を見せる。

そこから15番でさらにスコアを1つ伸ばし、17番でボギーを打つも、最終18番パー4で2打目をピンそば2.4メートルにつけ1パットでバーディフィニッシュ。後半は緊張感が抜けない9ホールとなった。

初日に降った雨の影響で予選ラウンドのグリーンはボールが比較的止まりやすかったが、3日目は「グリーンがとんでもなく速くて硬くなったんだ」と話した。ほかの選手でもボールがグリーンに跳ねられるシーンが多く見られ、難易度がさらに上がっていた。そのなかで1つスコアを伸ばし単独首位に立ったシェフラーは大会2勝目を狙える位置に立った。

今季は8試合に出場し、2度の優勝と5度のトップ10入りを果たしている。「このポジションはとても慣れている。明日はゴルフトーナメントで勝つためのチャレンジにワクワクしている。自分のプロセスがすべてで、そこで我慢して、自分のショットをしっかり打ち、質の高いパットを打つことを心がけていく」とマスターズ2勝目への緊張感を楽しみつつ、慎重に戦っていく。

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