「東日本大震災」で得られた“経験”“教訓”が薄れている? 冊子「津波から生き抜く じぶん防災プロジェクト」で命を守る方法を再確認

手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。今回の放送では、津波のメカニズムに詳しく、被災地の復興活動にも尽力している東北大学 災害科学国際研究所の今村文彦(いまむら・ふみひこ)教授に、冊子「津波から生き抜く じぶん防災プロジェクト」について伺いました。

※写真はイメージです

東日本大震災から3月11日(月)で13年を迎えました。冊子「津波から生き抜く じぶん防災プロジェクト」について、制作に携わった今村教授は「現在、(東日本大震災)当時に得られた経験や教訓は、だんだん薄れてしまっています。そこで、もう一度あのときの教訓を振り返り、まとめる必要があると思いました。(この冊子では)特に個人でできること、やらなければならないことをパンフレットのような形でまとめました」と話します。

この冊子は、第1章~第3章に分かれており、まず第1章は“東日本大震災を津波災害の視点から振り返る”というトピックで、岩手県、宮城県、福島県での津波被害について振り返っています。

第2章は、“津波はそもそもなぜ発生し、どんな性質を持っているのか”など、津波の基本やメカニズムについて詳しく書かれています。例えば、津波は海が深いほど速く伝わる性質があります。水深5,000メートルの沖合いにおけるスピードは、800㎞というジェット機に匹敵するほどの速さで、水深が浅いところでも、オリンピックの短距離走選手並みの速さで陸上に押し寄せてきます。

また、水深が浅くなるほど津波の速度は遅くなるため、陸地に近づくにつれて後から来る波が前の津波に追いつくことで、波の高さは高くなります。ゆえに、海の近くにお住まいの方は、特に津波避難ビルや3階以上の鉄筋コンクリートの建物がどこにあるかなどを事前に確認しておく必要があります。

第3章は、津波から自分の命を守り、生き抜くための方法を考えます。この冊子では、津波避難について「我々は地震が起きた後、いろいろな行動を取りますが、この行動というのは、日常の心理学とすごく関係しています。正常性バイアス(異常なことが起こったときも“大したことじゃない”と平静を維持しようとする心理状態)もそうです」と今村教授。

さらには、「我々の頭のなかで記憶している(街の)地図で、例えば、よく通っている道でも実際の地図とはズレがあって、距離感や方向が違っていたりします。これを“心理的な地理情報”と呼ぶんですけれども、(この冊子では)実際の状況と今思っている状況が違うことを認識していただきつつ、いざというときに正しい行動をしていただきたいです」と説明していました。

津波のメカニズムや特徴について、改めて確認してみてはいかがでしょうか。

<番組概要>
番組名:防災 FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/bousai/

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