【漫画】AIが全ての物語を描き尽くした世界で、創作を続ける意味はーー作家の葛藤を描いたSNS漫画に反響

2024年3月にXで投稿された漫画『AIが全てを描き尽くした話』は、多くのコメントが寄せられるなど話題を呼んでいる作品だ。

技術の発展からAIが漫画を生成するようになった時代で、漫画創作をつづける主人公。時間をかけて描いた作品をSNSに投稿したものの、多くのネガティブなコメントが寄せられてしまう。しかし中には主人公の感情を揺さぶるコメントもありーー。

本作の作者・なまくらげさん(@rawjellyfish)も数多くの作品をSNSに投稿している人物である。本作を創作したきっかけ、創作をつづける背景など、話を聞いた。(あんどうまこと)

ーー本作には多くのコメントが寄せられています。印象に残っているコメントは?

なまくらげ:「研究者みたいな世界観」だと感じてくださった方がいらしたことが印象的でした。0から1を生み出す創作者と、まだ未発見の真理を探究する研究者。たしかに両者は似ているかもしれません。AIには是非、研究分野で創作性を発揮してほしいですね。

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

なまくらげ:少し前に創作仲間の友人たちと生成AIについて話し合った事がきっかけです。AI技術が発展する中での創作の意義を考えるいい機会になり、本作の出発点となっています。

ーーなまくらげさんが生成AIに対して思うことは?

なまくらげ:新しい技術は基本的には歓迎されるべきものだと思いますが、それに見合った倫理観やリテラシーが醸成されていないと、どうしても不和が生じてしまいます。

マイナス面を最小限にしつつ、メリット面が社会全体に利益をもたらすよう、昨今の問題に落とし所が見つかることを祈るばかりです。

ーー本作では作品を投稿する直前に葛藤する主人公の姿が描かれました。なまくらげさんがSNSに作品を投稿する直前の心情は?

なまくらげ:幸い私のいる漫画分野にはまだまだ生成AIの手が届いていないこともあり、特に心理面で変わったことはなかったです。本作のようにAIが漫画を描くようになってきたら、また違ってくるかもしれません。

ーーなまくらげさんの創作活動に、SNSの存在はどのような利益や価値を与えていますか。

なまくらげ:自分の創作のスタイルとして、自身の考えの一部を作品に落とし込んでいる側面があるので、そういった思考の種の有無が重要になってきます。その点、SNSはさまざまな話題を気軽にキャッチできるのでいい刺激になっています。

ーー作中で1つの作品が完成するまでに3ヶ月かかったと描かれるように、漫画創作はときに大変さを感じる活動かと思います。なまくらげさんが漫画を描き続ける理由は?

なまくらげ:多くの方に作品を見ていただけたり、自分のアイデンティティにつながったりなど、労力に見合った価値があるからだと思います。照れくさいですが、ある種一生ものの思い出や資産のようなものを作っている感覚ですね。

ーー今後の活動について教えていただきたいです。

なまくらげ:明確な目標なくやっているので大したことは言えないのですが、引き続き自分らしい作品を作り続けていけるように頑張りたいです。

(あんどうまこと)

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