【注意喚起】3年住んだ賃貸を引っ越し! 業者に「壁の汚れがひどいので10万円はかかります」と言われたけど、これって妥当? それとも「ぼったくり」なの!?

原状回復に関するガイドラインが明確に存在する

原状回復に関するトラブルは全国で相次いでいるため、原状回復に関する費用について国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表しています。

ガイドラインの中では、原状回復の定義を、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること 」としています。

つまり、長年住んでいることによる経年劣化部分や、大きな家具を置く際に発生するへこみについての通常損耗は大家(貸手)側が負担すべきとしています。

経年劣化については家具や設備ごとに耐久年数をガイドラインで定めています。例えば、タイトルのように3年住んだ賃貸住宅の退去時に壁紙を張り替えることになり、その費用が10万円であった場合、壁紙の耐久年数は6年であるため、壁紙の価値は50%となり、入居者が故意とみなされる破損などがなければ負担すべき原状回復費用は10万円の50%で5万円となります。

退去費用は敷金から差し引かれる

賃貸住宅の場合、入居時に敷金と礼金を支払うことが多いです。原状回復の費用は基本的にこのときに支払った敷金から引かれ、足りない場合に追加で支払います。

賃貸物件を探す際に「敷金なし」という広告を見ることがありますが、敷金は最終的に自分に返ってくるお金で、修繕などの費用がかかる場合の保証金として預けるお金です。敷金が無料の場合には、退去時の原状回復費用と相殺する原資がないため、かかる費用を全額出すことになります。

先に払うかあとで戻ってくるかの差だけであるため、初期費用を抑えたいがあまりに敷金なし物件に条件を絞ると、望む物件をみつけることが難しくなるというデメリットのほうが大きくなります。

入居年数と部屋の広さごとの原状回復費用の相場は

悪徳業者からの高額請求にだまされないためには、入居年数や部屋の広さによる退去費用の相場感を調べておくことも大切です。退去時にかかる原状回復費用は、基本的に部屋が広ければ広いほど高額になります。

退去時の平均相場については大手不動産会社がアンケートなどを実施し公表しているため、複数のサイトを見ながら相場感を押さえることで、悪徳業者にいわれるがままの金額でサインしてしまうような事態を避けることができます。

ガイドラインと相場を事前に確認しておくことで退去時の費用を抑えよう

悪徳業者は、退去する住民が退去に関するガイドラインや相場など何も知らないという前提があるため、請求してもバレないという思惑で高額な費用を請求してきます。また、原状回復の負担については、賃貸入居時の契約書に特約などで別途記載されている場合があるため、契約書の内容も確認すべきです。

事前にガイドラインと相場を調べ、それをもとに請求された費用が不当であることを主張し、正当な金額への価格交渉をしましょう。原状回復を行う業者は、基本的に物件のオーナーが指定した業者が手配されますが、業者に問題のある場合、オーナーに業者の変更を交渉してみることも1つの手段です。

引っ越し費用を少しでも抑えるためにもガイドラインと相場、この2つだけは必ず自身で確認したうえで引っ越しに取り組みましょう。

出典

国土交通省住宅局 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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