「2024年問題」青森県内花き業者、競り遅らせて運送会社に協力 青森・八戸市場

八戸市中央卸売市場は2024年問題の対策として、切り花の競りの開始を1時間繰り下げた=10日

 4月から始まったトラック運転手の残業規制強化で物流の停滞が懸念される「2024年問題」に対応するため、八戸市中央卸売市場と青森市公設地方卸売市場が切り花の競り時間を1時間繰り下げ、正午開始にする取り組みをしている。残業時間のほか、運転手の拘束時間や休息を定めたルールも厳格化され、従来の午前11時開始では東京を出発したトラックが競りに間に合わない恐れがあるためだ。全国各地から切り花を仕入れる卸売業者ら市場側が輸送時間に余裕を持たせる形で、運送業者の働き方改革に協力した。

 八戸市中央卸売市場で花卉(かき)部門を受け持つ卸売業者「八戸花き」(八戸市)は残業規制の導入を見据え、昨年7月から競りの開始時間を正午に変更した。

 切り花の競りは月、水、金曜の週3回。沖縄、九州、関西など関東以南の荷物は東京の中継拠点に集約された後、同市場に運送される。繁忙期は荷物の数量が多くなるため、東京での荷積みに時間がかかり、以前から到着が遅れるケースがあったという。

 開始時間の変更で、競りに参加する仲卸業者や生花店には従業員の勤務体系を見直すなどの手間が生じたが、八戸花きの小山哲生社長は「物流網を維持しなければ消費者に花を届けられない。運送業者に協力できる最善策を考え、思い切って1時間遅らせた」と語る。

 青森市公設地方卸売市場の卸売業者「青森花卉」(青森市)も4月1日から、切り花の競りの開始を正午に繰り下げた。富樫正美社長は「九州、四国、沖縄からの荷物の到着時間が見通しづらくなったので、確実に間に合う時間に変えた」と話す。

 一方、24年問題では残業規制適用に伴う輸送能力の低下で、県内市場への農水産物の到着遅れも懸念されているが、現時点で影響は限定的という。八戸市中央卸売市場によると、青果部門は競りの前日までに荷物が到着することから、残業規制による運送の遅れが生じたとしても、早朝の競りには間に合う。「関東産の野菜や果物の入荷時間が朝方から昼になった」(五所川原中央青果)というケースもあったが、大半の市場が「影響は見られていない」としている。

© 株式会社東奥日報社