「面白かったでしょ?」AZ菅原由勢が痛恨パスミス→鮮烈ゴールの“自作自演ぶり”にニヤリ!「自分次第でどうにかなる」「メンタルのコントロールがうまくいった」【現地発】

4月13日、AZが0-2のビハインドを跳ね返し、RKCに3-2の大逆転勝利を収めると、右SB菅原由勢は苦笑いしながら「見ていて面白かったでしょ。今日の俺、自作自演したから」と言った。

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前半の菅原は良いプレーと雑なプレーが交互し、彼の2本のミスパスが失点に絡んでしまった。0-2の劣勢で前半を終えると、観客から凄まじいブーイングがAZイレブンに浴びせられた。

後半、AZはボールを保持しながらも、なかなかRKCを崩しきれず、焦れるような展開に。その空気を一変させたのが菅原の一発だった。

66分、右ポケットを突いた菅原はほとんど角度のないところから強烈なシュートをゴールネットに突き刺し、AZは息を吹き返した。75分に左ウイングのサディクが素晴らしいミドル弾を決め、試合を2-2の振り出しに戻すと、77分にはエースのパブリディスが味方の撃ったシュートのコースを変えて決勝点。チームとしても、菅原個人としても、前半の不出来をなんとか立て直して掴んだ勝利だった。

「幸い、サッカーは、ミスを取り返せるチャンスがグラウンドに転がっています。自分次第でどうにかなる――、それがサッカーの良いところであり、素晴らしいところだと思いました。

今日は僕自身、不甲斐ないミスでチームに迷惑をかけました。『必ず巻き返してやろう』と、誰よりもゴールへの意識を持って戦って、逆転につなげていくところを見せようとしました。後半に入るときには、前半のミスはまったく頭の中にありませんでした。前半の45分は割り切って捨てて、次の45分間をどうするかというところで、メンタルのコントロールがうまくいったと思います」

これで今季4ゴール目。2季前のキャリアハイを更新した。

「ポケットに入ることがやっぱり大事。あそこに入ると相手DFが中のマークを外したり、キーパーが迷ったりする。いいところにランニングできました」

サッカーとは不思議なもので、ゴールを決めた後の菅原は覇気を取り戻し、RKCのGKが蹴ったロングボールを逆サイドまで回って軽々と処理し、敵のプレスを左足の浮き球で巧みに外して絶妙のパスを味方に通した。

「サッカーは簡単ではありませんが、意外にちょっとしたワンプレー、ワンゴールでチームのスイッチが勝手に入ったりするもの。やっぱり1点入ってからかなり流れが良くなり、ホームということもあって観客の後押しを受け、そこから選手たちも生き生きし始めた。

やっぱり僕らに必要だったのはゴールでした。『実はゴールを取る力が僕らにはあるんだ』という自信が必要でした。思い切ったダイナミックなゴールで、僕は今日、チームを勢いづけることができました。そのことが良かったです」

【動画】AZ菅原由勢が角度のないところから鮮烈ゴール! キャリアハイの今季4点目をチェック!
この『自作自演』のゲームから得たものは何だろうか?

「個人的に、逆転につなげることができました。プレーで自信になったというよりも、メンタル的な成長を感じられるのが一番です。ミスはやはり起こり得るもの。それでも試合の時間が過ぎていく中で、勝たないといけません。それをどう巻き返していくかということに向き合って、いろんなトライをしながら逆転勝利に持ってくることができました。今日の試合はメンタル的な自信になります。

もちろん、ミスをしないのが一番。映像をしっかり見返します。それでもミスをした後に関しては良かったと思います」

1月、アジアカップで菅原が抜けてから、AZは2分け2敗と低迷した。しかし、彼が右サイドでゲームコントロールするようになってからチームは復調し、5勝2分けと盛り返した。3月、3ゴール・2アシストという素晴らしい数字を残した菅原は『フットボール・インターナショナル』誌選出の月間最優秀選手に輝いた。

だが、4月に入ると状況が一変し、ヘラクレスに0-5、PSVに1-5と大敗が続いた。続くRKC戦ではウォーミングアップ中に、MFクラーシー主将が負傷するアクシデントもあった。そして前半の0-2...。

「メンタル的にもチーム的にも、持っている力の100パーセントを出すことを拒む、何か弊害のようなものがあった。ピッチ外のところでいろいろなしがらみもありました。でも、今日の後半は焦れずに攻め続けて、ミスがあってもさらに一貫してトライし続けたことが逆転につながったと思います」

クラーシーの負傷離脱で急きょ、先発のチャンスを得た19歳のクワックマンは62分で53本のパスをパーフェクトに通した。彼に代わってピッチに入ったサディクは菅原のゴールをアシストした後、ブレ球のミドルシュートを決めてオランダリーグ初ゴールを記録した。

「試合に出られないからといって、AZには腐る選手がいない。それがやっぱチームに勢いを与えている。チームが2連敗して、サブの選手もチャンスだと思っていたはず。彼らはそれを掴み切った。ここから残り4試合。いいサッカーができるように頑張ります」

取材・文●中田 徹

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