“アゴのせ”は、いぬやねこが安心してリラックスしているときによく見られます。今回ご紹介するのは、ドライブ中、思わず飼い主さんの腕に“アゴのせ”してしまった1匹のねこ。X（ツイッター）で2.8万件の“いいね”を集めた投稿について、飼い主さんに詳しいお話を伺いました。
◇ ◇ ◇
飼い主さんと北海道ドライブ中に…
「当たり前みたいな顔してアゴ置いてくるじゃん」
そんなひと言とともに投稿された動画は、車の後部座席で撮影されたもの。恐竜がモチーフのペールピンクのパーカーを着たねこが、窓際の専用席に寝転んでいます。
お出かけが苦手なねこが多いなか、落ち着いた様子で窓の外を見ているねこ。すると、すぐ近くにあった、運転席のシートを掴む飼い主さんの腕に、おもむろにアゴをのせました。少し眠そうな表情で、飼い主さんの表情をうかがう様子は、まさに「あざとかわいい」！ アゴをどける様子はなく、すっかりリラックスモードのようです。
この動画がXに投稿されると、2.8万件もの“いいね”が集まりました。リプライ（返信）には「こういうちょっと図々しいあざとかわいいとこ大好き」「めちゃくちゃかわいいんだが」「ドライブ快適にゃ～！」「実はこのアゴ置きとかってねこすけにとってすごい楽な姿勢なんじゃないかな」など、さまざまなコメントが集まっています。
緊急時の避難や車中泊生活を想定した車旅
あざとかわいい姿が話題になったのは、6歳のアメリカンショートヘアの女の子「ハル」ちゃんです。お迎えされる前、飼い主さんのおうちでは、先代のいぬを失うなど身内の不幸が続き、家の中がとても暗く悲しい雰囲気でした。そんななか、やってきたハルちゃんの名前には「春の訪れのように温かく、明るい雰囲気をもたらしてくれるように」との願いが込められています。
「私は小さい頃から、長い間いぬを飼っていました。先代のいぬがお空に旅立ったあと、人生で初めていぬがいない生活を送りました。そんななか、寂しさでロスに陥っていた私に、ねこ派の夫がお迎えを提案してくれたのがハルでした。ねこと暮らすのは初めてで、戸惑うことも多かったのですが、今は毎日楽しく暮らせています」
こうして、かけがえのない存在になったハルちゃん。飼い主さんは、休日になるとハルちゃんを連れて、北海道を車で旅しています。それには理由があるそうです。
「胆振東部地震の被災経験から、ハルと安全に避難するにはどうしたらいいかを夫婦で考えたんです。その結果、緊急時の避難や車中泊生活を想定して、休日にはハルと一緒に北海道を車で旅するようになりました」
今回話題になった動画も、その一環でお出かけしたときに撮影されたもの。旭川のラーメンを食べに行く途中のことでした。
「ハルは満足すると、『フン、もういいわよ』というような態度でアゴを浮かすので、そうなると私はお役御免という感じなのですが。このあとも、ドライブ中は何度も繰り返し“アゴのせ”を要求されました」
このときは1分ほど“アゴのせ”が続いたため、腕が疲れてしまったそうですが、幸せな重みは羨望の的です。普段から飼い主さんの腕に“アゴのせ”しているというハルちゃん。隙あらば、飼い主さんの腕や足にアゴをのせるので、動けなくなってプルプルすることもとても多いそうです。
そんなハルちゃんと飼い主さんのほのぼのとした日常は、YouTubeチャンネル「あめろんハルと猫旅ちゃんねる」でも見ることができます。ねこと暮らす人に向けた防災アイデアも発信しているので、参考にしたいですね。
○取材協力：あめろんハルと猫旅ちゃんねる（@hal_star_gram）さん
