U-23日本代表、パリ五輪出場を左右する「キープレーヤー」5名

いよいよ4月15日(月)からカタールで開催されるU23アジアカップ。

今大会はパリ五輪のアジア予選を兼ねており、出場権獲得のためにはベスト4進出が最低条件だ。

中国、UAE、韓国という“死のグループ”に入った日本。8大会連続の五輪出場を目指すチームの「キープレーヤー」5名を紹介する。

小久保玲央ブライアン

パリ世代の代表をけん引してきた一人である鈴木彩艶がA代表に定着し、U23アジアカップ招集がかなわなかった今、日本のゴールマウスは鈴木と長くポジションを争ってきた小久保玲央ブライアンに託された。

ナイジェリア人の父、日本人の母を持つ小久保は、柏レイソルのアカデミーで育ち、2019年1月に名門ベンフィカのU-23チームへ加入。翌2020年にはUEFAユースリーグ決勝、レアル・マドリー戦で先発するなどその能力はポルトガルの地でも高く評価されてきた。

今季はベンフィカのトップチームに登録されながら主にBチームでプレー。スケールの大きさに安定感が加わりつつあり、3月に行われたU-23ウクライナ代表との親善試合でも2-0の完封勝利に大きく貢献している。

高井幸大

大岩剛監督率いるU-23日本代表も森保一監督のA代表と同様、「良い守備から良い攻撃」をコンセプトに掲げている。相手を前に置きながらプレッシャーをかけてボールを奪い、素早くフィニッシュへ持ち込むサッカーで、同世代の欧州強豪国とも互角の戦いを演じてきた。

しかしながら、そのサッカーが今年のアジアカップでどうなったのか、アジアの多くの国が知っている。敗れたイラク戦とイラン戦では、中盤を飛ばしてくる相手に苦戦。今大会の日本に対してもおそらく同じように臨むチームが現れるだろう。

そうした試合を想定した時に、192cmの長身センターバックである高井幸大にかかる期待は大きい。Jリーグでも先日、昨季の得点王アンデルソン・ロペスを相手に対等に渡り合うなど、守備者としての評価をグングンと高めている。

ビルドアップ能力も高さに加え、負けん気の強さも魅力。チーム最年少の19歳ながらも彼の出来は今大会の日本の結果を大きく左右するはずだ。

藤田譲瑠チマ

4-3-3気味の4-2-3-1を基本システムとする大岩ジャパン。そのため、今大会の中盤には川﨑颯太、山本理仁、藤田譲瑠チマ、田中聡、松木玖生の5名が選出された(FW登録の荒木遼太郎も実質この枠)。

その中でも、現チームのバロメーター的な存在なのが藤田だ。高い技術と運動能力を持ち、前を向いた時のプレー選択に秀でるほか、ボール奪取にも強みを見せる22歳。試合中に甲高い声で周りに指示を送る姿はすっかりお馴染みである。

所属のシント=トロイデンでも存在感が増しており、先発でプレーすることが増えている。フィジカル面も成長し、特徴の一つである姿勢の良さがさらに安定性を増してきた印象だ。

ただ、速い展開において持ち味を存分に発揮する一方、ブロックを作る相手に対してのアイデアや立ち位置の精度はいまだに課題。藤田が気持ちよく前向きでプレーしているうちは良いが、彼が目立たなくなった時、チームとして次の一手を打てるかは今大会の注目点となる。

佐藤恵允

佐藤恵允は明治大学時代から代表チームに定着。2023年3月の欧州遠征ではドイツとベルギーを相手にゴールを決めて一気に名を上げ、ヴェルダー・ブレーメンへの加入につながった。

昨年のU23アジアカップ予選は選外となり、“Bチーム”の一員として直後のアジア競技大会に出場、両大会で結果を出すために大岩監督が振り分けたとも言われるが、結果的に別格のパフォーマンスを見せて評価をさらに高めている。

今回のU23アジアカップは、鈴木唯人(ブレンビー)や斉藤光毅、三戸舜介(ともにスパルタ・ロッテルダム)など、欧州でプレーする2列目のタレントの多くを呼ぶことができなかった。

それだけに、今大会で10番をつける佐藤への期待は大きい。3月のウクライナ戦でもやや幸運な形ではあったがゴールを決めており、いわゆる“持ってる”アタッカーとしてチームをパリ五輪へと導いてほしい。

平河悠

正直なところ、5人目は誰を選んでも良かった。それだけ23人全員が重要であり、今回のU23アジアカップを勝ち抜くためには誰も欠かすことができない。

あらゆる試合展開が想定される今大会。最後はそうした中で、どんな状況でも力を発揮するであろう選手として、好調FC町田ゼルビアのサイドアタッカー、平河悠を挙げたい。

斉藤光毅と三戸舜介が不在の今大会において、独力で状況を打破できる数少ない選手であり、町田仕込みの対人能力は攻撃だけでなく守備でも発揮される。

パリ五輪に出られない「23歳以下の超スーパースター」たち

3月の親善試合ではマリ戦で先制点を決めただけでなく、藤田譲瑠チマや佐藤恵允とともに2試合連続でプレーした数少ない選手の一人。J1でブレイク中のドリブラーが、アジアの舞台でさらなる飛躍を遂げることを期待したい。

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