【新日本】王座陥落の内藤哲也 モクスリーとの再戦への思い「もちかけたのは俺ですから…」

シカゴから帰国早々、記者を呼び出した内藤哲也

いったい何があったのか。新日本プロレス12日(日本時間13日)の米シカゴ大会で内藤哲也(41)がジョン・モクスリー(38=AEW)に敗れ、IWGP世界ヘビー級王座から陥落した。団体最高峰王座が他団体所属選手に流出するのは2009年1月までIWGPヘビー級王座を保持した武藤敬司以来、約15年ぶり。14日に帰国した内藤は取材に応じ、屈辱の敗戦を振り返るとともに、再起への思いを明かした。

シカゴの地で悪夢が待っていた。3度目の防衛戦でモクスリーを迎え撃ったが、まさかの敗北。丸腰で失意の帰国となった内藤に取材を申し込むと、やはりファミレスへの緊急招集がかかった。

米国滞在中の食事をホテルにあったワッフルとサブウェイで全て済ませていた内藤は、牛ランプステーキをほおばりつつ敗戦の弁。「ベルトがないから帰りの荷物が軽くなってたことで、余計に悔しさを感じますね。日程的な不利もあったと思うけど、やると言ったのは俺だし、言い訳にはしたくないですよ。ベルトへの思いがモクスリーの方が強かったのかなと」と振り返った。

ちなみに内藤がノーコメントで会場を去るのは珍しい。実はこれには裏があった。「俺はバックステージに行ったんですよ。でも、みんな試合後のリング上を見ていたのか、誰もいませんでした。頭も痛いし、ああ、誰も敗者の声には興味ないのかと帰りましたよ。現地に来なかった東スポに責任が半分くらいあると思ってます」と〝記者ゼロ〟という敗戦に匹敵する屈辱に愚痴をこぼした。

最高峰王座の他団体流出は団体として約15年ぶりの事態。戦犯となってしまった格好だが「負けておきながら言うのもなんですけど、ある意味で歴史に名を刻んだな、と。実はそこまで落ち込んでない自分がいましたね」と、すでに気持ちは切り替わっている。

次期挑戦者には成田蓮が名乗りを上げており、モクスリーは海野翔太との師弟対決も熱望している。内藤は「俺が流出させてしまったからこそ、俺が取り返したいという気持ちはありますけど、現時点においてベルト戦線には最後列になってしまったかもしれない。ただ、また先頭に立ちたいという思いは強く持ってます」。6日両国大会で辻陽太との挑戦を退け2度目の防衛に成功した後は、新世代との防衛ロードも見据えていた。

「そこへの興味はいまだにすごくあるわけで、やり残したことがあるなと。陽太とのタイトルマッチを経て、ベルトにも少し思い入れができていたのかなと、いまさらになって思いますし」と王座返り咲きに強い意欲を示した。

もちろん2連敗となったモクスリーへの雪辱も大きなテーマとなる。「ベルトあるなしにかかわらず、リベンジしたい気持ちはものすごくありますね。今回に関しては、タイトルマッチをもちかけたのは俺ですから。もしモクスリーとやる機会があるのであれば、彼の指定する場所に乗り込んでいく覚悟もありますよ」と言い切った。

言いたいことを言い終えるや「それにしても時差ボケがひどくて…。このままじゃ帰りの運転が危ないし、ちょっと顔洗ってくるから待ってて」と店外のトイレ方面へ。もちろんそのまま戻ってくることはなく、テーブルの上には伝票だけが残された。

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