VIVANT方式で大ヒット狙う日曜劇場「アンチヒーロー」 野村萬斎出演でTBSが異例の発表した事情

「アンチヒーロー」に出演する長谷川博己(左)と野村萬斎

俳優の長谷川博己(47)が主演するTBS系日曜劇場「アンチヒーロー」第1話が14日にスタートした。TBSは同作に力を入れており、昨年7月期「VIVANT」の再来を狙う。TBSが、能楽師の野村萬斎(58)の出演と長女で同局の野村彩也子アナウンサー(26)の休養に因果関係はないと異例の発表をしたのも、〝代償出演〟などといった先入観を排除するためだったという。

「アンチヒーロー」は被告が殺人犯でも無罪に持ち込もうとする、ヒーローとは言い難い弁護士(長谷川)の物語で、悪は本当に悪なのかを問う。第1話放送を前に俳優の北村匠海、女優の大島優子、木村佳乃、萬斎ら40人超のキャストが発表されたが、ストーリーは非公表だった。

TBSは「VIVANT」と同じ手法を取り、その再来を狙っている。同局局員の話。

「『VIVANT』では、第1話放送前までストーリーを明かさない〝宣伝しない宣伝〟を展開し、視聴者の飢餓感をあおってヒットにつなげた。『アンチヒーロー』でも同様の手法を導入。それに加え、制作陣も『VIVANT』と重なっています」

「VIVANT」の脚本の山本奈奈、李正美、宮本勇人の各氏、演出の宮崎陽平氏、プロデューサーの飯田和孝、大形美佑葵の両氏は「アンチヒーロー」でもそれぞれ脚本、演出、プロデューサーとして名を連ねた。「VIVANT」の原作・演出の福沢克雄氏は外れたが、主要スタッフは〝チームVIVANT〟で固められた。

TBSは力を入れている。「ビューティフルライフ」(2000年)、「半沢直樹」(13、20年)など数々のヒット作を飛ばした日曜劇場で、「VIVANT」が世帯平均視聴率14・3%を記録した後の2作で、視聴率が伸び悩んだからだ。

昨年10月期「下剋上球児」は9・6%、今年1月期「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~」は10・7%と物足りなかった。

「アンチヒーロー」をめぐっては、TBSは第1話放送2日前の12日、担当番組がゼロの野村アナについて昨年9月から過労のため休養しており、これと野村アナの父の萬斎が「アンチヒーロー」に出演することに因果関係はないと発表した。突然にして異例の発表で不可解だったが…。

「野村アナが過労で休養した〝代償〟として萬斎さんが出演することになったのでは――などと不穏な情報が流れました。一部メディアはTBS関係者に事実確認したが、事実ではない。萬斎さんの出演は昨年夏までに内定していました。視聴者が余計な先入観を抱かぬよう、局として異例の発表をすることになったんです」(TBS関係者)

TBSは「VIVANT」のようにSNSで考察合戦が展開されることを期待している。思惑通りにいくか。(視聴率は関東地区、ビデオリサーチ調べ)

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