消防広域化へ協議会 災害・救急対応を効率化 高萩・北茨城市 茨城

高萩市消防本部(上)と北茨城市消防本部

茨城県の高萩、北茨城両市は消防本部の広域化へ向け協議会を設置する。救急出動や大規模災害が増加する中、初動体制の強化や業務見直しによる現場の増員、財政負担の軽減などの利点があることから、協議会設置で意見が一致。両市は広域化の時期を未定としながらも、事務レベルでの協議を「速やかに開始する」としている。

両市消防本部によると、救急出動件数は増加傾向。高萩市消防本部は2014年に1459件だったのが23年は1726件、北茨城消防本部も1991件が2554件と直近10年で需要が高まっている。高萩は救急車3台、北茨城は4台を所有しているが、両本部ともに年間数件から数十件程度、自前の救急車が全て出払い、互いに出動を要請し、需要に対処しているという。

現時点で、協力体制は構築されているものの、広域化で救急や火災、災害の際に協力要請の手間が省けたり、統一された指揮下で効率的に業務に当たれたりするほか、財政負担の軽減につながることなどから、協議会の設置を決めた。

両市などは広域化の具体的なメリットとして、市境で発生した事案への到着時間の短縮、総務部門といった本部機能の統一で捻出できる人員の現場再配置による消防力向上、高度な装備や資材導入の際の財政負担軽減などを挙げる。一方で、高萩、北茨城両消防署は現行のまま存続させるため、住民サービスの低下にはつながらないという。

広域化の時期は未定。職員数は140人規模になる見通し。今後の協議会で、人員配置や給与などの人事規定、本部の場所、負担割合などを話し合う。

両市は既にごみ処理や工業用水道、建築主事の業務で広域連携を進めている。

© 株式会社茨城新聞社