大分県/新工業団地整備で県内市町と連携強化、27年度ごろに造成着手へ

大分県は県内への企業誘致を加速させるため、県内市町と工業団地整備に向けた連携を強化している。2023年度に工業団地整備の適地調査を行い、高速道路や主要幹線国道の沿道にあり、造成がしやすい場所を抽出。条件を満たした用地が所在する各市町が行っている詳細調査の結果を踏まえ、近く実現可能性の高い候補地を絞り込む。地質調査や設計などを経て、27年度ごろから順次、造成工事着手を目指す。
県は半導体受託生産最大手・台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県進出に伴う半導体関連産業の投資熱を大分県内にも波及させようと、23年度に新たな工業団地整備に向けた適地調査を実施。高速道路や主要幹線国道の沿道約5~10キロ圏内で、造成のしやすく、平たんな5ヘクタール以上の用地を抽出した。
県企業立地推進課は抽出した用地の数などは非公表としながらも、離島の姫島村を除いた県内17市町に該当箇所があったという。抽出した用地の中にはTSMC新工場の付近を通過する地域高規格道路・中九州横断道路の計画区間の沿道も含まれている。
23年度の適地調査で抽出した用地については、各市町に用地取得の実現性や、都市計画手続きに向けた調査などを要請。月内にも各市町からの報告がまとまる予定で、これを踏まえて県が具体的な候補地を絞り込む。
県は24年度に「企業立地基盤整備加速化補助金」を創設し、同年度当初予算で事業費として8億3500万円を計上した。同補助金は26年度までの3カ年限定の措置で、造成工事の前に市町が行う水質や地質の調査、設計、工事用車両の進入路整備などにかかる費用を補助率3分の2で支援し、新たな工業団地整備に向けた市町の取り組みを強力にバックアップする。
県内には企業進出の受け皿として大分市、豊後高田市、玖珠町に県が整備した工業団地などがあるが、ほとんどの区画が埋まっている状況となっている。県には企業側から進出に関する問い合わせがあるが、企業側が求める条件を満たせずに受け入れの機会を逃すケースも出ていた。

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