成田空港会社/新しい成田空港構想の検討状況公表、空港周辺の複線化など

成田国際空港会社は、同空港の既存ターミナルを集約する「新しい成田空港」構想で、新貨物地区や鉄道・道路など空港アクセスの検討状況を明かした。新貨物地区は約120ヘクタール規模となる。上屋は2層化し取扱貨物量を増加しつつ、コンパクト化を想定。鉄道はターミナル再編に伴う新駅整備や空港周辺の複線化を見込む。道路アクセスは千葉県と連携しつつ、今後の進め方などを検討中という。
新貨物地区のゾーニングによると、新ターミナルの前面に上屋エリア、背後にフォワーダーエリアを設ける考え。現在の貨物上屋は面積約19・5万平方メートル、取扱能力は240万トン。将来的に350万トンの貨物を扱う場合、想定される上屋面積(事務室などを除いた貨物取り扱いスペース)は、平屋で整備すると面積は約29・2万平方メートルに上るという。
「将来の拡張余地や建て替える場合の土地も確保必要」(同社担当者)であるため機械化・自動化した上で、高層化してコンパクト化を図る。上屋を二層にした場合の想定面積は約16・0万平方メートルとなるという。
鉄道は、空港周辺にある約9キロの単線区間の解消に向け、複線化を検討していく。ターミナル再編に伴う新駅は段階的な整備ができるような設計や構造にしていきたい考え。将来的な需要増加に対応できる十分な輸送力を確保していく。
道路は周回型で分かりやすく、空港と東関東自動車道(東関道)や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)などを接続し、利便性の高い道路に再編する。圏央道の新規IC整備実現に向け、位置などを含めて千葉県と共に検討中という。
「更なる機能強化」に伴う空港東側の道路整備と、地域と空港が一体的に発展していくための全方位的な道路アクセスの改善や周辺道路交通の負荷低減のための方策を議論していく。周辺道路も県と連携し、地域計画や道路整備計画の把握、交通量の算定手法、道路交通の分析方法、これからの進め方を協議していく。
12日に「『新しい空港』構想検討会議」(委員長・山内弘隆武蔵野大学経営学部特任教授、一橋大学名誉教授)の第7回会合を東京都内で開いた。貨物施設や鉄道、道路の空港アクセスに関する検討状況などを確認、議論した。

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