女子バスケで気迫のブザービーター 赤穂ひまわりは無口でも「やらなきゃ」と仲間を触発する主将【Wリーグ決勝】

12得点11リバウンドのダブルダブルと活躍したデンソー・赤穂ひまわり(右)【写真提供:Wリーグ】

「京王 presents Wリーグプレーオフ2023-2024」ファイナル

バスケットボール女子Wリーグのプレーオフ決勝第2戦が14日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで行われ、デンソーが富士通に73-62で勝利した。負けたら終わりの一戦で1勝1敗の逆王手。日本代表の赤穂ひまわりは12得点11リバウンドのダブルダブルと活躍した。観客はWリーグ史上最多の7168人。15日の最終戦で初優勝を決めるべく、背中で引っ張る口数の少ない主将はこの日4本外したフリースロー(FT)の復調を誓った。

控えめに握る拳には気迫が宿っていた。31-37の第2クォーター(Q)残り4秒。味方のシュートが外れ、飛び込んだのが赤穂だ。自身より6センチ大きい身長190センチの相手Cテミトペを吹き飛ばしながらリバウンドを獲得。着地直後に振り向き、ブザービーターを決めた。小さく拳を握り、高めた逆転への気運。「タフな試合だった」。勢いに乗ったチームは積極的な守備を見せ、1勝をもぎ取った。

25歳の主将が前半終了間際に繰り出した熱いプレー。銀メダルだった2021年東京五輪で日本の主将を務めたチーム最年長34歳の高田真希も「触発された」と熱くなった。「年々感情が表に出ている。勝ちたいからこその表れ。背中で見せてくれる」。チーム最多の11リバウンドに加え、12得点をマークした後輩に引っ張られ、崖っぷちから初優勝に望みを繋いだ。

9つ下の赤穂に寄せる信頼は大きい。「言わなくても自分の役割をわかっていて、それをしっかり表現してくれる。いろいろなリーダーシップがあるが、ひまわりらしい取り方が出来つつある」。高田も務めた主将を引き継いで2季目。言葉は少なくても仲間には見られている。任務を確実に全うしようとする気迫は、チーム全員に「自分もやらなきゃ」と思わせた。だから、逆転勝利を呼び込んだ。

愛される一面もある。フリースロー(FT)を9本中4本外した赤穂は高田に促され、試合後の場内インタビューを待つ間に観客の前で居残り練習。しかし2本とも外し、笑いが生まれた。「『明日は大丈夫』と切り替えられるようにみんなが声を掛けてくれた。明日は決めたい」。皇后杯との2冠まであと1勝。泣いても笑っても今季最後の一戦へ、最高の雰囲気でぶつかる。

THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro-Muku

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