育て、花文字「大丈夫」 7~10月 3000株植栽、大型企画展 水戸芸術館 参加者募集、29日説明会 茨城

「Google Earth」の画像に描画を施した《人が花に対して、また花と共に行う営み》イメージスケッチ(水戸芸術館提供)

茨城県水戸市五軒町の水戸芸術館は7~10月、同館広場で約3000株の花を植えて「大丈夫」の花文字を描く市民参加型の大型企画展を開く。市民ボランティアによる花壇クラブのメンバーを今月から募る。多くの市民参加を想定する企画展は同館で初の試み。制作に携わる作家ユニットは「皆で相談しながら巨大な花壇を作り、花を植え、世話をする。このプロセスを含めて一つの作品。皆で『大丈夫』を育てていくことを大事にしたい」と期待を込める。

「人が花に対して、また花と共に行う営み」と銘打った新作の企画展は、ともに千葉県生まれで東京芸大大学院修了の山下麻衣さん(47)と小林直人さん(49)のアート・ユニットが手がける。これまでビデオやパフォーマンス、絵画、彫刻、ランドアートなどを駆使して千葉や富山、スペイン、オーストラリアの美術館などで発表してきた。

今回の新作は、制作段階から多くの人が関わる参加型作品としてはユニットにとっても初めてという。

今月29日のメンバー募集説明会を皮切りに、5~7月に花壇の配色検討や、市植物公園(同市小吹町)での寄せ植え体験などを経て、7月27日に苗を植えて花文字作りを始める。

広場の約3分の1である面積約600平方メートルで7月に「大」、8月に「丈」、9月に「夫」と、1文字に約千株、3文字で計約3千株を植えていく。植えてからも水やりや草取りの世話を続ける。花はコリウス、マリーゴールド、ベゴニア、ジニア、トレニアなどを予定し、10月の展覧会閉幕後は自由に持ち帰れる譲渡会も行う。

完成時は芸術館タワーから花文字を見下ろせる景観が期待される。

山下さんと小林さんは「『大丈夫』は状況によって意味の変わる不思議な言葉で、見下ろした時の感じ方も人それぞれ。アート好き、お花好き、花壇作り経験者など、広い参加を待っている」と話している。

募集の対象は高校生以上で、参加費無料。全ての活動日に参加する必要はなく、定員も定めていない。29日の説明会は午後1時半~2時半に開く。問い合わせは同館現代美術センター(電)029(227)8120。

山下麻衣さんと小林直人さん(右から)=柳原良平撮影、水戸芸術館提供

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