企業が続々と中期経営計画を発表!発表後に株価が上昇した企業は?

2024年4月3日、岸田総理は、総理大臣官邸でコーポレートガバナンス改革の推進に向けた意見交換を行いました。

総理は、意見交換を踏まえ「東京証券取引所から報告いただいたように、上場企業にPBR(株価純資産倍率)等の資本コストや株価を意識した経営の実現を要請し、今年から、対応を進める企業の一覧の公表を開始しています。日本企業の稼ぐ力を更に強化するために、いまだ第一歩が踏み出せていない企業においても、投資家との対話を通じ、企業価値の向上に向けた取組を着実に実践に移すことが重要です」と語られました。また、来年4月からは、プライム市場上場企業に重要情報の英文開示を義務化し、海外からの投資を呼び込むための指針なども示されました。


プライム市場で開示済み・検討中は約6割

前途した、「資本コストや株価を意識した経営の実現」の開示状況を東証が開示しています。3月22日に開示された資料を確認すると、2024年2月末に対応している企業は、プライム市場で開示済みと検討中をあわせ969社(59%)で、スタンダード市場は348社(22%)となっています。

なお、2023年12月末は、815社(49%)で、スタンダード市場は300社(19%)でした。プライム市場に比べスタンダート市場の開示状況が進んでいません。また、開示状況を見ると、PBR1倍割れで時価総額が1000億円企業の開示が87%と最も多く、PBR1倍以上で時価総額が250億円以上の企業が最も少なくなっています。

東証は事例集を公表

開示書類は中期経営計画書や決算説明資料が多く、成長戦略や株主還元強化、事業ポートフォリオの見直す及び政策保有の縮減・売却などを掲げています。

また、東証は今年2月に資本コストや株価を意識した経営について投資家からの支持を得た取り組みの事例集を公表しました。コンコルディアFG(7186)、丸井G(8252)、住友林業(1911)、三菱商事(8058)などの好事例を公表し、企業の情報開示の質向上を目指す狙いがあります。

3月末から4月にかけて多くの企業が中期経営計画を発表しています。今回は発表後に株価が上昇した企業をお伝えし、どのような開示情報を発表したかを見ていきたいと思います。

オンワードホールディングス

総合アパレル最大手オンワードホールディングス (8016)は、オンワードグループ中長期経営ビジョン「オンワード・ビジョン 2030」 を公表し、その中で、資本コストや株価を意識した経営の対応について、2026年度に積極的な成長投資を含めた成長戦略の推進(M&A戦略やDX戦略)を掲げ、当期利益100億円以上を目指します。同年度にROE10%以上、ROICを7%以上を目指します。また、2024年度以降の株主還元策として、配当性向をこれまでの35%から40%に引き上げるとしています。その他に、成長に向けた資金活用の方針も盛り込まれています。今期の決算内容も踏まえ、株価は堅調に推移しています。

ADEKA

化学品・食品・ライフサイエンス事業を担うADEKA(4401)は、4月1日に2024年度から 2026年度 の中期経営計画『ADX 2026』を公表しました。 2026年度に営業利益530億円(前期345億)、売上高5000億円(前期4100億)を掲げています。新製品の売上高で情報・電子化学品と食品で大きく伸ばす計画です。ROE11%、ROIC10.5%としています。配当性向はこれまで30%を維持してきましたが、今後は40%超の水準を維持する予定です。いずれも株主還元の拡充や成長戦略を明確している事がわかります。

その他でも、スルガ銀行(8358)や平和堂(8276)なども開示後に株価が堅調に推移しています。4月後半から5月中旬の決算発表と同時に中期経営計画を開示する企業が増加すると思われます。

日本株の上昇は、資本コストや株価を意識した経営の実現によって企業の変革を期待したように感じます。更なる株価上昇の鍵は、計画通りに企業が成長できるかではないでしょうか。

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