熟年離婚の理由は? 妻が決意した瞬間 #2「仮面夫婦状態からの“とどめ”」

子どもたちが家を出たあと、40代後半あたりから増える「熟年離婚」。

夫婦ふたりでも何とかやっていけるとそれまでは思っていたのに、「離婚」の文字が頭をよぎるのは、身を置く現実がどんなものかを実感してからという女性も少なくありません。

ネガティブな決断ばかりとは言えないのが熟年離婚。その気持ちが固まるきっかけには何があったのか、女性たちのエピソードをご紹介します。

「数年前、夫の不倫が原因でふたりの仲が悪化し、今も仮面夫婦状態が続いています。

そのときはまだ子どもが中学生で私はパート勤め、シングルマザーだと生活が苦しいし息子は夫に懐いているしで、離婚は考えませんでした。

腹立たしいのは、それを見越して私への謝罪を軽く済ませた夫の姿で、『もうしない』と約束はしたものの、不倫相手への慰謝料の請求は止められ自分も私に償うことはせず、このときに愛情はきれいに消え失せました。

これからは生活費を稼ぐ同居人として暮らそうと割り切ったけれど、息子が家を出たあとのことまでは想像していなかったですね。

熟年離婚をはっきりと意識したのは、私に正社員登用の話が持ち上がってから。

経理の仕事は好きで、パートだけど自分なりに工夫しながら進めていて、パソコンのことも勉強してメンテナンスなどを自分でできるようにしていたことが、評価されました。

これまでもアルバイトから正社員になった人もいるのは聞いていて、待遇など大きく変わるし私にとってはメリットしかなく、筆記と面接の試験は絶対に合格したいと思いましたね。

ところが、夫は私が正社員になることを『家事の手を抜かないなら』と一方的に条件をつけてきて、『これからは同じ正社員になるのだから、家事は分担するべき』と返したら『経理と俺の仕事を一緒にするな』と鼻で笑われました。

これがとどめで、『営業だって経理の人が処理してくれるからお金のことを丸投げでやれるのでしょ』と言い返しながら、いずれ離婚することを決めました。

息子には離婚する意思があることは伝えていませんが、私たちの仲が冷えているのは気づいているし、驚かないとは思います。

今は大学生の息子を無事に社会に送り出すこと、やりたい仕事に無事に就けるよう応援するのが私の役目と思い、夫の気持ちは無視して生活を続けています。

試験は無事に合格して正社員となり、それを夫は一言も喜ばかなかったけど、息子が『お母さん、すごいね』と言ってくれたので満足です。

私の収入が増えることがどんな意味を持つか、夫は考えていないでしょうね。

これからは離婚後の生活に向けて貯金を続け、悔いなく夫婦生活を終わらせるための準備をしていくつもりです」(43歳/建設業)

妻の仕事を馬鹿にする夫のケースでは、妻を甘く見ていたことが熟年離婚の結末を招きます。

正社員になるのがどういうことか、まともに考えられないのも尊大な自分に疑問を持たないからで、そんな夫婦関係がうまくいくはずはないですよね。

経済的な理由がクリアできるなら離婚するという女性は多く、その決断は正しく自分を大事にするためといえます。

(ハピママ*/ 弘田 香)

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