市民主体、ビジネス創出 茨城・常総市が講座 観光振興や地域活性化 道の駅集客生かす

取り組みを報告する市民ら=常総市水海道天満町

茨城県常総市で市民が主体となって観光振興や地域活性化につながるビジネスを提案、実施する取り組みが進んでいる。市主催のビシネス創出支援講座「じょうそう観光地域づくりLabo(ラボ)」に参加する市民は、体験型観光事業などの企画運営を担う法人の立ち上げや動画による市内飲食店の紹介といったビジネス案を提案。アイデアを事業化して継続的に展開していくことで、市全体でにぎわい創出を狙う。

同講座は、道の駅常総や観光農園を抱える産業団地「アグリサイエンスバレー常総」の集客力や経済効果を生かし、市全体に波及させるビジネス案の創出を支援しようと2021年から始まった。講座参加者は、これまでにワークショップや講演などを通してビジネス案の作り方や収益化の流れを学んできた。

現在活動するのは2グループ。ビジネス案の事業化を目指している。ことし3月には市やアグリサイエンスバレー常総の関係者らに向け活動報告も行われた。

そのうちの1グループは、地域活性化に向けた企画の立案、実行を担う法人の立ち上げを予定している。法人では、市内農家と協力した農業体験事業や耕作放棄地を活用したシェアファームなどの企画を立案し、観光事業として展開していく方針だ。

市の基幹産業である農業などの地域資源を活用し、より多くの人に常総市を訪れてもらうとの狙いがある。同グループで活動する酒井栄一郎さん(65)は「常総市ならではのコンテンツをつくっていきたい」と意気込みを語る。

もう一方のグループでは、市内の飲食店紹介に特化したユーチューブチャンネル「常総美食ハンター」を開設。グループのメンバーが飲食店を訪れて、料理をリポートするという内容の動画を撮影しており、5日現在で50本の動画を投稿している。

動画を通して道の駅常総に訪れた観光客などの市内周遊を促し、市全体の活性化を狙う。これまでに紹介した飲食店では新規客の獲得といった効果が表れているという。同グループの石塚徹さん(44)は「今後は市内の農家や企業を紹介する動画も手がけたい」としている。

市も2グループの事業化に向け支援する方針。市アグリサイエンスバレー推進室の担当者は「収益化に向けて継続したサポートをしていきたい」と話している。

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