「僕は人々の間違いを証明するのが好き」下馬評を覆し続ける角田裕毅、同僚に“大差”つける結果に英識者も感銘!

ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は、母国レースである日本グランプリでトップ5に割って入る10位入賞を飾ったが、オーストラリアGPに続いてのポイント獲得によって、多方面から高い評価を与えられている。
そして、レースにおけるパフォーマンスやレース結果(順位)もさることながら、対チームメイトの勝負に勝ち続けていることも、この日本人のドライバーの価値を高める大きな要因となっているのは間違いない。とりわけ、予選でのタイム差は、純粋な速さを示すものとして、重要な指標となっていると言えよう。

ちなみに、モータースポーツ専門サイト『speedcafe.』は、4戦における各ドライバーのトップタイムの平均値を算出し、各チーム内における両ドライバー間の差が小さい順にランキングを作成。結果は以下の通りである。

1位:ハース 0.02秒
2位:フェラーリ 0.085秒
3位:メルセデス 0.091秒
4位:マクラーレン 0.138秒
5位:アルピーヌ 0.187秒
6位:レッドブル 0.279秒
7位:ザウバー 0.466秒
8位:RB 0.496秒
9位:ウィリアムズ 0.507秒
10位:アストンマーチン 0.56秒

RBは、角田がダニエル・リカルドを4戦平均で0.496秒上回っているということであり、1000分の1秒を争う競技において、これはかなりのタイム差である。リカルドは母国レースとなったオーストラリアGPの予選で、ベストタイムがトラックリミットで取り消されており、同メディアはこれがなければ両ドライバー間の平均タイム差は0.341秒に縮まると紹介しているが、それでも大きな差と言えよう。

角田は、ここまでダニエル・リカルドに自身の実力を示し続けていることについて、英国の放送局「Channel 4」に対し、「僕は、人々が間違いを犯したと証明するのが好きです。それはいつものことであり、ニック(・デフリース)の時も、誰もが、ニックがトップドライバーになるはずだと言っていました。僕はそういったことに慣れていますが、彼らの言っていることが間違いだと証明でき、とても満足しています」と語り、以下のように続けている。

「僕はただ、自分がやっていることを続けているだけで、最終的に良いパフォーマーとなり、F1ドライバーになるためには、それが必要だと思います。そして、トップドライバーはみんなそういう姿勢を抱いているものです。とにかく僕は、人々を驚かせ続けるだけです」「Channel 4」の分析担当を務めるドライバーのビリー・モンガーは、このRBのチーム内対決に感銘を受けたといい、「人々は、経験豊富なドライバーにとってイージーな対決になると考えていた。ダニエルは休みを取っていたが、それでもユウキがグリッド上では潜在的に最速の部類のドライバーではないと考えていた。しかし、ユウキはこの状況に対応してみせた。ダニエルには、かつてあった1周のパフォーマンスが欠けているのかもしれない」と、自身の見解を示した。
リカルドは日本GP前、「高速コーナーで車の感覚を掴むのに苦労しており、それが自信を削ぎ取っている。安定性を探ろうとしたが、安定とは、時に安全で遅いことを意味する。当時はそれが理に適っていると思っていたが、結果的には単に車を遅くしてしまった」と自身の不振を分析しており、その去就が人々の話題に挙がる中、なりふり構わず現状打破に取り組んでいる。

今週末には中国GPを迎えるが、ここまで角田が変わらぬ安定感と速さを発揮して両ドライバーの関係性を維持するか、あるいは後塵を拝し続けたリカルドが反撃を見せるか、非常に興味深いところである。

構成●THE DIGEST編集部

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