【日薬代議員】 奈良、唯一の選挙で後岡氏(44)が当選/5月には会長選に挑む

【2024.04.15配信】令和6年3月28日に投開票された日本薬剤師会代議員選挙で、奈良県薬では44歳の後岡伸爾氏が当選した。今回の代議員選挙では唯一、選挙を行っての決定となった。

若手育成が組織を活性化

令和6年3月28日に投開票された日本薬剤師会代議員選挙で、奈良県薬では44歳の後岡伸爾氏が当選した。今回の代議員選挙では唯一、選挙を行っての決定となった。代議員の奈良県薬枠は定数1名であり、これまで県薬会長の吉川惠司氏が代議員を務めてきたため、実質、会長選挙の前哨戦の位置付けともいえる選挙だった。後岡氏は当選を踏まえ、5月の会長選に挑む。

後岡氏は桜井市、天理市で計4軒の薬局を経営。平成25年度から県薬理事を務め、令和4年度から副会長(現職)。対抗馬だった杉村好唯氏(65)は、10年にわたって県薬副会長を務めてきたが、2年前に副会長の座を辞していた。杉村氏の年齢やこれまでの実績もあり、若手の後岡氏が立候補したことに首を傾げる向きもあるが、後岡氏は本紙に対し、吉川現会長から後継指名を受けたことが大きな要因と語っている。吉川氏の「後継は若手、次世代に譲りたい」との思いを受け、後岡氏も立候補の決意を固めたとしている。

結果は、地元紙報道によれば約6割の支持を受けて後岡氏の当選となった。この選挙戦について他都道府県の薬剤師会関係者に受け止めを聞くと、意外にも前向きな意見が聞かれた。「やりたい人が複数いて、選挙で審判を仰ぐのは通常の民主主義のあり方」というものだ。加えて、ではなぜ、選挙戦があまり見られない光景なのかを尋ねると、「そこまで“やりたい”という人がいないのも理由の1つかもしれない」との声もあった。都道府県薬で今後、活発な代議員選挙が繰り広げられることも1つの望まれる姿なのかもしれない。

後岡氏が若手であるということも1つの注目点だ。後岡氏は県薬連盟の若手組織の中に身を置いてきた。こうした組織としての若手育成がいかに組織の活性化に重要であるかを示した事例とも受け止められる。

奈良県薬では代議員選挙の翌日である3月29日に県薬の理事立候補を締め切っている。4月6日の理事選考委員会ではその中から27名の理事候補者(理事定数30名)が選出された。今後、5月下旬の総会で承認を受け、その中から代表理事、すなわち会長を選出する。理事選出メンバーには杉村氏は入っておらず、情勢としては後岡氏の会長就任とみるのが現実的だ。新理事候補者には後岡氏と同様に若手として育ってきたメンバーもいる。

代議員は総会の場などを通して日薬に直接、意見が言える存在。後岡氏は奈良県における薬剤師の現状を日薬に伝えたいと今後の抱負を語る。吉川現会長が注力してきた学校薬剤師の職域拡大や報酬面での対応の必要性は引き続き発信し、薬剤師確保策では新人育成のできる環境や女性薬剤師の復職支援、奈良特有ともいえる製薬産業振興との連携についても発信していきたいとする。

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