高山さん(熊本市)にSOMPO美術館賞 水彩連盟展

SOMPO美術館賞に選ばれた高山法雄さんの「伝統を紡ぐ」
高山法雄さん

 第83回水彩連盟展の特別賞・SOMPO美術館賞に、水彩連盟会員で必由館高教諭の高山法雄さん(57)=熊本市=の「伝統を紡ぐ」が選ばれた。高山さんは2018年にも東京都知事賞を受賞しており、特別賞に輝くのは今回で2回目。

 奄美大島の自然を描いた日本画家田中一村(1908~77年)に引かれて20年ほど前から島に通い始め、泥染め職人をモチーフに作品を描いてきた。受賞作はベテランの職人と見習いの孫が並び、工房で作業している様子を描いた100号。赤褐色の染料を吸って重くなった糸の質感や、床を流れる染料の表面に反射する光、年季の入った道具を丁寧に表現している。

 「地に足をつけて暮らす職人の姿に魅力を感じる」という高山さん。工房に行くと必ず泥染めを体験し、その場の空気感を絵に反映させるようにしているという。詩情あふれる風景を描いた米国の画家アンドリュー・ワイエス(1917~2009年)に「1ミリでも近づきたい」と目標を語る。(澤本麻里子)

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