長崎市内最高齢の交通指導員 村岡さん(86) 通学路の安全見守り27年 「成長が楽しみ」

27年間子どもたちの登校を見守る村岡さん=長崎市横尾5丁目

 毎日午前5時に起き、横断旗を手に通学路に立つ。それを27年間続けている。子どもたちが安心安全に登校できるように見守る村岡幸次さん(86)=長崎市横尾4丁目=は、同市内最高齢の交通指導員。元気の秘訣(ひけつ)は「子どもたちの笑顔と成長」。
 「おはよう。いってらっしゃい!」。新学期が始まった8日朝、市立横尾小付近の信号のないT字交差点。近くには市立横尾中もある。多くの児童、生徒たちが通る中、村岡さんが一人一人に声をかける。横断歩道を渡る前に左右を確認することや走って渡らないことなど交通ルールの指導を徹底。運転手のルールチェックも欠かさない。この日は方向指示器を出していない車に笛を吹いて一時停止させ、注意を促した。
 60歳で三菱電機を定年退職後、健康のために浦上地区の地域交通安全活動推進委員として、横尾小付近で交通指導を始めた。「跡継ぎ」を捜していた先輩指導員に誘われ、2008年からは市の委嘱を受けた指導員として活動している。
 少子化の影響で子どもの数は減ったものの、やることは変わらない。交通ルールの指導のほか、子どもたちの表情をチェック。いつもと様子が違ったり、元気がなかったりしたら積極的に声をかける。横断した児童の数や帽子などの忘れ物をした人を毎日記録して、小学校に提出するのも村岡さん流の見守り方だ。
 小学1年の時は恥ずかしがってあいさつもできなかった子どもが、卒業式の時にお礼の手紙を書いて持ってきてくれた。高校受験合格や就職を報告しに来てくれる子もいる。「子どもたちが笑顔で登校し、日々の成長を感じられることが楽しみ。それが今まで続けてきた理由」
 指導員の任期が満了する再来年は88歳。「まだまだ続けてほしい」という声が届いているが、村岡さん自身は「未定」という。しかし、雨の日も暑い日も子どもたちを見守り続ける思いに変わりはない。

◎ズーム 長崎市交通指導員

 市の委嘱を受けて活動する。本年度は計65人を委嘱し任期は2年。平均年齢は74.2歳で、高齢化や担い手不足が懸念されている。委嘱には小学校長や自治会長の推薦が必要で、謝礼は年3万1400円。問い合わせは市自治振興課(電095.829.1211)

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