広瀬アリス『366日』が前作「月9」に酷似と批判噴出も…ドハマりしそう! 名作恋愛ドラマになる予感

『366日』記者会見に登壇した広瀬アリスと眞栄田郷敦

前クールの「月9」と一緒じゃねえかよ!……という批判の声が噴出するのも納得。確かに第1話に関しては展開がそっくり。

しかし、個人的にはドハマリしそうな予感がするほど、ストーリーに没入して惹きつけられた。

4月8日(月)にスタートした広瀬アリス主演の「月9」ドラマ『366日』(フジテレビ系)。HYの代表曲「366日」から着想を得たオリジナルラブストーリーだ。

同級生の明日香(広瀬)と遥斗(眞栄田郷敦)は、高校時代に密かに想いあっていたが、当時は恋が実らず。そして初めて出会ってから12年後、28歳になって再会した2人は、ようやく恋人同士に。

だが、幸せ絶頂の初デートの待ち合わせ場所に遥斗がなかなか来ない。なんと彼は子どもを助けるために橋の上から転落し、意識不明の重体で病院に緊急搬送され――という衝撃のラストで第1話は終了した。

■『君が心をくれたから』第1話にそっくりな展開

『366日』の第1話の展開は、永野芽郁主演の「月9」の前クール作品『君が心をくれたから』(フジテレビ系)と酷似。

『君が心をくれたから』も、高校時代に想い合っていた男性と久しぶりに再会するも、彼が交通事故に遭い瀕死になってしまうところで第1話が終了した。さらに言うと、現在のシーンの合間合間に高校時代の回想シーンを挿入していき、かつての甘酸っぱい純愛を強調するという構成も同じだった。

そもそも恋人が不運な事故に遭うというのも、わざわざ例にあげるまでもないほど、さまざまな恋愛ドラマ、恋愛映画、恋愛漫画でさんざん使い倒されている手法。こんな手垢がつきまくった悲劇でストーリーを盛り上げようとするのも、なんとも芸がないというかひねりがない。

だから酷評したくなる人の気持ちはわかるし、実際SNSで批判的な声が多かったことにもなんら不思議はない。

だが、恋愛コラムニストをしている筆者には久しぶりに刺さった恋愛ドラマだった。

確かに『君が心をくれたから』とそっくりな展開で、なぜに同枠の2クール連続でこんな似かよったストーリーにしたのか疑問ではあるが、『366日』は誤解やすれ違いによる迷いや弱さといった心の機微がていねいに描かれていてとてもよかった。

特に、高校時代パートは遥斗をいつも目で追っている明日香の切ない片想いが描かれていたのだが、終盤で挿入された遥斗視点の回想シーンはたまらなかった。実は、遥斗も明日香のことをずっと見ており、両 “片想い” だったことがわかった瞬間は、年甲斐もなくキュン死するかと思ったほど。

まあこれも言ってしまえば王道中の王道の展開で、遥斗も明日香に恋しているのは余裕の想定内だったのだが、わかっていてもグッとくるほど、そこに至るまでのセリフや演出といった過程が素晴らしかった。

もっとシンプルな理由をあげるなら、あくまで筆者の好みの話になるが、作品から醸し出された “雰囲気” が言語化できないレベルで美しかったのだ。

そういえば、本作は『君が心をくれたから』と比較されがちだが、近年の恋愛もののヒット作である『最愛』(2021年/TBS系)や『silent』(2022年/フジテレビ系)の第1話も、同様の構成だった。

この2作品の第1話も、高校時代の甘酸っぱい回想シーンを要所要所にはさみながら、現在の時間軸で2人が再会するという展開。『366日』は『君が心をくれたから』に似ているというより、近年のヒット作のトレンドを踏襲していると言えるだろう。

■HY「366日」は失恋ソングだが…ハッピーエンドもある?

さて、ここからはドラマ『366日』の結末をメタ推理で予想していきたい。

考察で最大のポイントになるのは、本作がHYの代表曲「366日」をモチーフにしている点。「366日」は叶わなかった恋を歌った狂おしいほどに切ない失恋ソングで、ドラマの公式サイトには《楽曲とドラマのこれ以上ないシンクロにご期待ください!》と記されている。

この情報を素直に解釈するなら、残念ながら悲恋エンドがほぼ確定だ。

また、ドラマの冒頭で数年後となる2028年に、明日香が一人でたたずむ姿が描かれており、「4月。桜の花を見るたび思い出す。かけがえのない、あの日々のこと…」と、意味深なナレーションが入っていた。遥斗が意識不明の重体になったことを踏まえて観返すと、なんとも不穏なのは言うまでもない。

しかし、これらの要素はミスリードで、最後はハッピーエンドになるのではと予想している。

まずドラマのストーリーがHYの「366日」の内容を忠実になぞっているかというとそんなことはなく、すでに歌詞で書かれているような片想いではなくなっている。

つまり、ドラマは歌の完全再現をしようとしているのではなく、あくまでインスピレーションを受けただけで、ストーリーはオリジナルと考えていいだろう。フジテレビがHY側に曲の解釈や結末を変えることの承諾を得ていれば、ハッピーエンドにしてもなんら問題はないはず。

そのため、冒頭の2028年のシーンは明日香の孤独な姿が描かれていたが、最終話でこのシーンの続きが描かれ、実は元気になった遥斗がそばにいて、バックハグして終幕……そんなハッピーエンドになるのではないかと予想している。

『366日』が「月9」の恋愛ドラマで久しぶりのヒット作となるか。今夜放送の第2話も楽しみだ。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』にて恋愛コラムを連載中。ほかに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

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