水族館が重度障害児者ケア施設で「初開館」 埼玉医科大などが協力 宇都宮の「うりずん」

ボウルに入ったオオグソクムシに触れる子ども=13日午前、宇都宮市徳次郎町

 日常的に人工呼吸器などを利用する「医療的ケア児」や保護者らに楽しんでもらおうと、埼玉医科大や新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)などは13日、栃木県宇都宮市徳次郎町の重度障害児者ケア施設「うりずん」で移動水族館を開催した。

 うりずんで移動水族館が開かれるのは初めて。1月に同施設で実習した同大大学院2年の吉田輝々(よしだきき)さん(28)が障害児の家族から「水族館に行きたいが難しい」と聞き、指導教授や同水族館などの協力を得て実現した。

 この日は深海生物「オオグソクムシ」の水槽が展示され、施設利用者らは興味深そうに観察したり、触ったりした。仮想現実(VR)を使った深海調査体験も行い、水族館職員が魚の説明などを行った。

 高根沢町、主婦高野明子(たかのあきこ)さん(46)は同施設に通う息子拓燈(ひろと)さん(8)と訪れ、「息子にとって初めての水族館。長時間の車移動が難しいので、来てくれてありがたい」と喜んだ。

 吉田さんは「楽しんでもらえて良かった」と笑顔を見せた。

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