パトカーに360度カメラ、警察官の胸元で自動撮影… 現場映像をリアルタイムで共有、広島県警が初動対応を強化

警察官(左)の胸元にある端末のカメラとパトカー赤色灯部分の全方位カメラ。映像は県警本部などにリアルタイムで届く

 広島県警は、パトカーに360度撮影可能なカメラを設置するなど、事件や事故の映像を現場から県警本部(広島市中区)と警察署に自動送信できるシステムを拡充した。110番の受理件数が増加傾向にある中、映像を通じて現場の状況をリアルタイムで共有する機能を高め、初動対応の強化を図る。

 県警によると、全方位カメラは、自動車警ら隊や各署に配備している全66台のパトカーの赤色灯に設置。緊急走行時は、県警本部の通信指令室に自動で映像が送られ、警察署でも共有できる。これまでも車両の前方と後方のドライブレコーダーの映像は送信できたが、撮影の範囲が狭かった。

 また、現場の警察官が胸元に装着し動画撮影できるスマートフォン型の通信端末を無線機と連携できる仕様に改善。無線機を起動するだけで端末が自動で撮影を開始し、通信指令室に映像が送れるようにした。それぞれを起動していた手間が省け、緊急時の対応がよりスムーズになるという。

 県警が昨年受けた110番は記録の残る2004年以降で最多の27万2571件(前年比9・0%増)で、3年連続で増加した。通信指令課は「初動対応の重要性が増している。音声に加えて映像があれば指示がしやすくなり、県民の安心感にもつながる」とする。

 6年ごとのシステム更新に合わせた取り組みで、3月に運用を始めた。6年間のリース料は約16億円。110番の通話音声を自動でテキスト化する機能なども追加した。

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